財団法人 日本紡績検査協会
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  リネン(亜麻)・ラミー(苧麻)・ヘンプ(大麻)の麻繊維について
   
  ■リネン(亜麻)
リネンは亜麻科の一年草である。その植物の靱皮から採った繊維をフラックスといい、フラックスで作った糸や布をリネンという。フランス語ではラン(Lin)イタリア語ではリノ(Lino)ドイツ語ではライネン(Leinen)という。
  (原産地)
  コーカサスから中近東と云われている。紀元前6000〜5000年頃に栽培がはじまる。中国、インドへ伝わり日本には、1960年(元禄3)に渡来し栽培された。
   
  (栽培条件)
  亜麻は亜寒帯に適した栽培植物であり、比較的寒い地方で湿気が多く、排水の良い土壌で良質の繊維用亜麻が育つ。生育期には月平均60〜80mmの降雨があること、収穫時期には雨の少ない事がよいとされている。
   
  (特徴)
   長所
 
  1. 清涼感:天然繊維や化学繊維の中で熱伝導性に優れ、体熱を外部へ伝える力が大きい。
  2. 引張り強度が大きい:綿と比べ繊維が長いので撚りあわせが容易で繊度・繊維長の分布が広く引張り強度が大きい。特に湿潤時に強力が増し耐久性に富む。
  3. 剛性を持つ:高度に発達した微細構造をもち、綿に比べ重合度、結晶化度、配列度が大きいことから強度は
    大、伸度は小、ヤング率が大きく剛直であり「張り」「シャリ感」を与える。
  4. 水を含むと膨潤する:水の中で膨潤するのは繊維内部に線状分子の結晶化や配向があるためで、長さ方向に伸びにくく幅方向に膨潤する。
   短所
 
  1. 染色性:麻は綿と同様の染料が使用されるが、結晶領域が密なため濃色品は鮮明に染まり難く均一な染色が難しい。場合によっては未染着部分ができてしまう問題が発生する。
  2. 収縮・変形し易い:麻は親水性なので水洗いすると吸収して膨潤・収縮が生じる。ニット製品では糸の撚りのトルクが洗濯により緩和され斜行が出来易い。
  3. 皺がつき易い:ヤング率が大きく、伸長弾性回復が小さいので皺がつき易い。糸の太さ・撚り数・加工条件が関係し、特に洗濯による機械的作用が加わると皺が残る。
 
(リネンの顕微鏡写真)
 

側面

断面
   
  ■ラミー(苧麻)
イラクサ科に属する宿根性の多年生の草木類である。苧麻は2種類に大別され、1種は葉の裏に白毛を密生する白葉苧麻種であり、もう1種は葉の裏に毛は無い緑葉苧麻である。古くから「からむし」「まお」「からそ」と呼ばれており越後上布、小千谷縮、能登上布、近江上布、奈良晒布、宮古上布、八重山上布などと称され愛好されていた。大正時代に中国から多量輸入され品種改良されるようになってから「苧麻」と呼ばれるようになった。
  (原産地)
  原産地は東南アジアといわれ現在の主産地は中国、マレー、フィリピン、ブラジルである。ラミーもリネンと同じく古くから使われており、日本では福井県の遺跡から縄文初期のものが発見されている。
   
  (栽培条件)
  多照で温暖な気候条件と湿潤な土地、耕土を深くとれる事が必要である。草丈1〜2.5mに伸び、茎は通常1.5〜2.0mに伸育する。
   
  (特徴)
 
  1. 天然繊維の中で最もシャリ感がある:繊維は硬く張り・コシがつよくシャリ感があり、汗ばんでも肌に密着せずベトつかない。
  2. 通気性が優れている:多少粗く織っても、繊維のコシがつよいため、織糸が滑脱しにくく通気性に優れた織物が作れる。
  3. 吸湿、放湿性に優れている:汗を素早く吸収し放出するため気化熱を奪い涼しい。
  4. 洗濯性:強い洗いにも耐え洗濯で汚れが落ちやすく、清潔さが保持できる。又、水に濡れると繊維強力が向上するので洗濯回数の多い夏期に適している。
 ※苧麻の代表的な欠点:繊維が粗硬なので肌をチクチク刺激する。
   
 
(ラミーの顕微鏡写真)
 

側面

断面
   
  ■ヘンプ(大麻)
桑科の1年草で、雌雄異株の双子葉植物。「麻」という言葉は、日本では古くから大麻のことをさしており、広い意味では、大麻に類似した繊維を取る植物やその繊維のことをいう。
  (原産地)
  中央アジアと考えられ、現在では世界各地に分布している。現在の主産地は中国、ロシア、ルーマニア。最も古いもので縄文時代の鳥浜遺跡(約1万年前)から大麻繊維や種子が発見されている。
   
  (栽培条件)
  ヨーロッパでは、冬に植えられることが多い。大麻と輪作すると害虫や病気の発生が少なくなると共に地力が上がり収穫量も増えると言われている。
   
  (特徴)
   長所
 
  1. ラミーやリネンよりシャリ感があり、肌触りが涼しい。
  2. 繊維構造が中空のため、吸湿、吸汗性がある。
  3. 引張り強度で綿の8倍、耐久性で4倍の強度を持つ。
  4. 通気性に優れている。
   短所
 
  1. 太い短いのバラツキが多い繊維なので、紡績して糸にするのが難しい。
  2. 粗硬な素材なので、糸ネップやスラブが生じやすい。
 
(ヘンプの顕微鏡写真)
 

側面

断面
   
  ■まとめ
 
名称 種別 短繊維長(mm)
太さ(ミクロン)
産地 用途
亜麻  Flax
 Linen
 リネン
亜麻科
(一年草)
20〜30mm
15〜19ミクロン
イギリス・フランス・ベルギー・ルーマニア・ロシア・中国  衣料用
 寝装
 資材用
苧麻  Ramie
 ラミー
 からむし
葦麻科
(いらくさか)
(多年草)
70〜250mm
18〜30ミクロン
中国・ブラジル・フィリピン・マレーシア  衣料用
 寝装
 資材用
大麻  Hemp
 カナパ
桑科
(一年草)
5〜55mm
16〜50ミクロン
ロシア・イタリア・中国・ルーマニア  衣料用
 ロープ
  繊維の組成表示を行うときは、次のようになります。
 
繊維の種類 表示方法
リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)
ヘンプ(大麻) 指定外繊維(ヘンプ)
又は
指定外繊維(植物系繊維)
   
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