トピック No464_夏場の輸送・保管時には昇華に要注意! 2025/7/22 JIS L 0854 昇華に対する堅ろう度試験について 本格的な夏の到来です。この時期になると繊維製品の昇華に関するお問い合わせが多くなります。地球温暖化により、中国や東南アジアからの生地や衣料品の輸送・保管中、コンテナ内での長期高温で “昇華移染” のリスクが高まっています。夏場の高温下には、事前に昇華の確認と対策をしっかり行っておくことをお勧めします! 昇華はなぜ発生するの? 昇華とは、固体が液体を経ないで直接気体になることで、ポリエステルの分散染料が高温下において、未固着の染料等が飛散してしまう現象です。衣料品では濃淡の切替品や下札などに染料が移行してしまうことを言います。未固着の分散染料がある場合、酷暑なコンテナ内では長期間高温となり、昇華移染が発生しやすくなってしまいます。昨今、東南アジアでの生産が増加しており、中国生産に比べ船によるコンテナ移動期間の増加と共に昇華による移染も増加しています。 輸送・保管時の昇華による移染事例 ・保管していたら裾の縫い糸(黒:ポリエステル)付近がピンク色に移染した。・店頭に納品された商品を開封したらポケットの淡色部分と下札に色が移っていた。・縫製していたら手が黒くなった。(摩擦堅ろう度不良等が要因となることもあります) 縫い糸の昇華試験 結果:2-3級 JIS L 0854 昇華に対する堅ろう度試験の説明 試験方法(抜粋)1,40×100mm(もしくは60×60mm)の試料を採取し、添付白布(一般的にはポリエステルと 綿)を取付け複合試験片を作成する。 (添付白布の代わりに製品に使用する淡色生地や下札などでも試験可能です)2,試験片をステンレス鋼板の間に挟み、汗試験機に取り付け、12.5kPaの圧力が加わるようにお もりを載せ固定する。3,汗試験機を120℃±2℃の温度に保った乾燥機中に入れ、80分間乾熱処理をする。 (温度や時間を実際の状況に基づいて任意に変更も可能です。)4,乾熱処理後、直ちに複合試験片を取り出し、試験片と添付白布を分けて広げて放冷し判定す る。 昇華による移染対策・未然防止策 1,染色後の還元洗浄をしっかり行う2,適切な染料の選択・適切な染色条件(浴比や温度・時間など)での染色3,染色工場内等における昇華試験による堅ろう度確認 国内拠点はもちろん、生産現場となる中国やアセアン拠点でも昇華試験を実施しています。また、海外拠点におきましては、染色工場での自社試験との手合せや試験動作の指導を行っています。まずは、気軽にご相談ください。 PDF記事 PDF記事はこちら 関連記事 ・No337_ポリエステル製品に発生してしまう”昇華移染”にお困りではないでしょうか?・No425_より良いモノづくりのために染色・プリントの事故事例~分散染料の移行昇華~・昇華試験 お問い合わせ 海外事業本部 中国 TEL:+86-519-8580-7907(担当:松本) アセアン TEL:+84-28-3816-5170(担当:村松)こちらのお問合せフォームよりご連絡ください。