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試験方法から探す

昇華

目的

昇華堅ろう度とは、使用している染料が「昇華」しやすいかどうかを調べるために行う試験です。 昇華堅ろう度が悪いと、他の衣料を汚染させるというトラブルが発生する可能性が高くなります。

昇華とは?

昇華とは、物体が固体から液体にならずに直接気体に変化する(蒸発する)物理現象のことを言います。衣料の場合、非常に細かい粉末(固体)の分散染料が蒸発してしまうことを指しています。この昇華と言う現象は、何種類かある染料の中でも、ポリエステルを染色する際に使用される分散染料にのみ起こる現象です。繊維上の染料が昇華すると、水等を介さずに移染が生じる場合があります。

昇華が起こる時の状況

高温のアイロンを掛けたり、高温多湿状況下での長期保管等によって染料の「昇華」が起こり、重ねていた別の生地に移染したりします。

どうして昇華が起こるの?

例えばポリエステルは分子構造が非常に緻密なため、染料が入り込む隙間がほとんどありません。そこで、高温・高圧下でポリエステル繊維の分子同士の結合を弱め、分散染料をポリエステル繊維内部に押し込んで染色するのです。こうして染色されたポリエステルの繊維内部に閉じ込められた染料は、通常の環境下で外に出ることはありません。しかし熱がかかると分散染料は繊維表面に移動し、さらに昇華現象が起こります。 分散染料には染料粒子径が小さいタイプのものから大きいタイプのものまで様々あり、特に小さいタイプのものは昇華しやすい場合が多いので、染料選択には注意が必要です。

試験方法

「JIS L 0854昇華に対する染色堅ろう度試験方法」に基づいて試験を実施します。
1. 複合試験片をステンレス板に挟み、汗試験機に取付けて約12.5kPa(6cm×6cmの試験片の場合約45N)の荷重をかけます。
2. 汗試験機を120℃±2℃の乾燥機で 80分間処理した後、汗試験機から複合試験片を取り離す。
3. 試験片の変退色と添付白布の汚染の程度をそれぞれ判定します。
【汗試験機及びステンレス板】
dye_transfer.jpg

試験結果

試料の変退色については変退色用グレースケール、添付白布への汚染については汚染用グレースケールをそれぞれ使用して判定します。一般的には、変退色及び汚染ともに4級以上を合格としているところが多いです