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化粧品基準-配合禁止成分

配合禁止成分について ~防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の禁止~

  • 医薬品の成分(添加剤としてのみ使用される成分等は除く)。
  • 生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)に適合しないもの。
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に規定する第1種特定化学物質、第2種特定化学物質及びこれらに類する性状を有するもの。
  • 下記の物質。
 

成 分

説 明

1

6-アセトキシ-2,4-ジメチル-m-ジオキサン 6-アセトキシ-2は麻薬の中間原料であり、4-トリデカジエンともいう。4-ジメチル-m-ジオキサンは、2,4-ジメチル-1,3-ジオキサンともいう。有機溶剤(ペンキの薄め液のようなもの)として工業塗装で利用される。気道刺激物で中枢神経に害を与え、また発がん性の疑いがあるとされている。

2

アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)以外の抗ヒスタミン 塩酸ジフェンヒドラミンは外用としてはかゆみ止めであり、安全性が高いことから化粧品の成分として含有して問題ないがその他の抗ヒスタミン剤は内服が主な投与経路であり、化粧品などの外用剤の成分として適さない。

3

エストラジオール、エストロン又はエチニルエストラジオール以外のホルモン及びその誘導体 これらは女性ホルモンの一種であり、左記3成分であれば、微量ながら製品によっては配合可能。その他の性ホルモンは医薬品の範疇であり、少量でも作用が強く安全性の保証もないため、化粧品の成分には適さない

4

塩化ビニルモノマー 塩素とビニル基からなる有機化合物。クロロエチレンとも呼ばれるが、付加重合させるとポリ塩化ビニルとなる。かつて日本ではエアロゾルの噴霧助剤として使用されていたが、1970年頃に使用禁止となった。

5

塩化メチレン ジクロロメタンと呼ばれ、塩化メチレンは慣用名である。難燃性の有機化合物であり、広範囲で溶媒や溶剤として利用されている。金属機器の洗浄剤として一般的に利用されているが、蒸気を大量吸引すると中枢神経系を抑制し、継続的な摂取で肝機能障害、発癌性があるとされている。通常、化粧品にはまず入らないが、塩化メチレンに汚染された上水を使用すると検出されることもある。

6

オキシ塩化ビスマス以外のビスマス化合物 ビスマス自体は、原子番号83の元素であり、淡く赤みがかった銀白色の金属で、柔らかく脆い。ビスマス化合物は、腸粘膜のタンパク質と結合して被膜を作り炎症を起こした粘膜への刺激を和らげる作用があり、整腸剤として利用されており、医薬品成分に該当するため、化粧品としての使用は不可。オキシ塩化ビスマスは、白色~微黄灰色の真珠光沢顔料であり、合成パールエッセンスとして使われてきたが、紫外線により変色することがある。

7

過酸化水素 工業原料として利用されるケースが多く、製紙の際のパルプ漂白や廃水処理、半導体の洗浄などに使用される。衣料用漂白剤としても使用され、一般的には酸素系漂白剤と呼ばれるものがこれに該当する。また、染毛剤の主成分であるパラフェニレンジアミンなどの酸化染料と過酸化水素水とを混合することにより酸化発色させ、毛髪を染毛する。但し染毛剤は医薬部外品に該当する。

8

カドミウム化合物 カドミウム自体は、原子番号48の金属元素であり、いわゆる亜鉛族元素に属している。カドミウムは人体にとって有害(腎臓機能に障害が生じ、それにより骨が侵される)で、日本ではカドミウムによる環境汚染で発生したイタイイタイ病が問題となった。配合禁止成分であるが、天然由来の原料に含まれる場合があり、原料段階での品質確認が重要である。

9

過ホウ酸ナトリウム CAS番号7632-04-4。別名はペルオキソホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ソーダ無水物等と呼ばれている。過酸化水素と同じく漂白作用がある。歯の漂白に30~35%の過酸化水素と過ホウ酸ナトリウムを混和したものが使用されるケースがある。人体に対する作用が緩和ではないので、化粧品成分としては配合禁止。

10

クロロホルム 常温では無色の液体であり、多くの有機化合物をよく溶解する。光や酸素の存在下では比較的容易に分解され、有害ガスであるホスゲンを発生させる。過去には吸入麻酔薬として使用されてきたが、現在ではより安全性の高いものに置き換えられている。ちなみにテレビドラマにあるようなクロロホルムをしみ込ませたハンカチを相手に吸引させると一瞬で気を失う、という劇的な効果はなく、相当量吸引しなければ気を失うようなことはない。

11

酢酸プログレノロン 他のホルモンの前躯体で服用時に身体のプロゲステロンとエストロゲン数値に影響を与える。肌に塗れば保湿剤になる。肌の中に吸収されるかどうかに対する情報はないが、脳内神経系ホルモン物質であるため化粧品には配合できない。

12

ジクロロフェン 条虫(サナダムシ)の駆除薬に使用されるほか、動物に対する殺菌剤、駆虫薬、抗原虫薬としても使われることがある。又、殺菌剤として消臭剤、シャンプー、化粧品などに配合される場合もあるが、日本では配合禁止成分である。

13

水銀及びその化合物 過去日本では、水銀入りの化粧品が当然のように販売されていたが現在は禁止されている。水銀の効果として、肌のメラノサイトのチロシナーゼ酵素の合成を抑制し、メラニン色素の生成を抑えることができることから、美白化粧品に配合されるケースがある。

14

ストロンチウム化合物 ストロンチウム自体は、原子番号38の元素であり、放射性同位体のストロンチウム90は放射性降下物に含まれ、その半減期は約29年である。ストロンチウム化合物としては、塩化ストロンチウムが知覚過敏の改善目的で歯磨き粉に含まれる可能性があるが、日本では配合禁止成分である。またメタストロンという名称で、がんの骨転移による疼痛の緩和を目的とした治療用の放射性医薬品として使用されている。

15

スルファミド及びその誘導体 防かび剤として衣料用防虫剤として使用されている。ただ、あくまで衣料用としてであり、化粧品には配合禁止となっている。

16

セレン化合物 セレン自体は原子番号34の元素である。セレンは自然界に広く存在し、微量レベルでの人体必須元素となっている。但し、必要量の2倍程度摂取すると毒性がある。水質汚濁や土壌汚染の環境基準指定項目となっている。化粧品では、天然由来の原料(鉱物)に含まれる可能性があり、原料レベルでの品質確認が必要である。

17

ニトロフラン系化合物 抗菌剤の用途で使用されるケースが多く、動物用医薬品として細菌性感染症の治療等を目的として使用されている。但し、食用動物への使用は国内及び海外の多くにおいて禁止されている。特に、ニトロフラゾン及びフラゾリドンについては、FAO/WHO合同添加物専門家会議において発がん性又は遺伝毒性を有することからNO ADI と評価されている。

18

ハイドロキノンモノベンジルエーテル メラニン色素の合成を非常に強力に抑制するが、色素細胞に対する毒性が強く、長期的使用により回復不能な白斑を引き起こすことが知られている。また、アレルギーを起こしやすい性質もあることで知られている。ハイドロキノンも同様な効能を有しているが、ハイドロキノンモノベンジルエーテルよりも作用が緩和なため、製造者の責任において使用することは可能。

19

ハロゲン化サリチルアニリド サリチルアニリドは、殺菌剤、抗菌剤として使用されるケースが多い。ハロゲン化したサリチルアニリドは、光アレルギー性皮膚炎を引き起こすと知られており、使用を中止してもその影響は長期間続くケースも報告されている。

20

ビタミンL1及びL2芳香族アミノ酸の一種であり、哺乳類に対して催乳作用を示すため、以前はビタミンの概念で括られていたが現在は外されている。牛の肝臓から抽出されたものがL1(アントラニル酸)、酵母から抽出されたものがL2(アデニルチオメチルペントース)である。アントラニル酸の誘導体であるアントラニル酸メチルは、麻薬及び向精神薬取締法で向精神薬原料に加えられている。

21

ビチオノール 肺吸虫症の特効薬として知られる駆虫剤である。その形態は、無味無臭の白色または類白色の結晶または結晶性粉末で、水に溶けにくい。過去には、皮膚の殺菌消毒剤として化粧品に添加されているケースもあった。

22

ピロカルピン アルカロイドの一種で非選択的ムスカリン受容体刺激薬。医薬品としては、塩酸ピロカルピンとして発売されている。また、副交感神経末梢を興奮させるため、汗腺、唾液腺、涙腺の分泌を促進させ、瞳孔を縮小させるなどの作用を起こすと知られている。

23

ピロガロール 植物由来の染色剤であり、酸素吸収作用がある。強い還元性を有する物質で、皮膚に長く使用すると刺激を伴い紅斑を生じる。化粧品では、サンタン、養毛剤、染毛剤などに用いられる。皮膚、粘膜への刺激は極めて強く発疹、色素沈着を生じる。

24

フッ素化合物のうち無機化合物 フッ素化合物(有機)自体は、大部分が安定した物質であり、歯磨剤や樹脂として幅広く利用されている。但しフッ素単体は反応性が非常に高く猛毒の気体として知られており、また低分子量のフッ素化合物(無機)も強烈な酸化作用を示す物質である。

25

プレグナンジオール プロゲステロンの代謝物と考えられている女性ホルモン。「にきび」の治療薬として、とくに月経前(約1週間前)に悪化する症例に有効とされている。

26

プロカイン等の局所麻酔剤 日本薬局方には塩酸プロカインとして収載されている劇薬。医薬品成分であるため、化粧品には使用できない。

27

ヘキサクロロフェン 医薬品、香粧品の消毒剤として使用される。光アレルギー物質としても報告されている。ふけ取りシャンプーにおいて、ふけ・かゆみを防止するために殺菌剤として1%程度添加されているものもある。

28

ホウ酸 温泉等に多く含まれ、主には、殺菌剤、殺虫剤、医薬品(眼科領域)等で使用されている。ヒトにとっての毒性は食塩と同程度であるが、一部の昆虫に対しては毒性が強く現れ、ホウ酸団子等がよく知られている。

29

ホルマリン ホルムアルデヒドが溶け込んだものが水溶液がホルマリンである。化粧品には防腐剤として使用されるケースがあり、海外では配合禁止成分ではないため、日本に輸入される化粧品からは検出されることがある。BOKENでは、最低限検査するべき項目の1つとして挙げている。

30

メチルアルコール 別名メタノール。有機溶媒等として用いられるアルコールの一種。化粧品にはエタノールが溶媒として使用されることが多く、メタノールは燃料用として使用されることが多い。メタノール、エタノール共にアルコールの一種だが、製法が大きく異なり(メタノールは天然ガス、ナフサの改質で得られた合成ガスからの化学合成、エタノールはとうもろこし、サトウキビなどの糖分、デンプンの微生物発酵)、またヒトに対する影響も大きく異なる(メタノールは、体内でホルムアルデヒド⇒ギ酸に代謝される、ホルムアルデヒド、ギ酸ともに有毒。エタノールは、アセトアルデヒド⇒酢酸に代謝される)。エタノールに比べメタノールは安価であるため、海外からの輸入化粧品にはコストを抑える目的で意図的に混入させるケースがある。

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