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特定芳香族アミン類試験(EN14362、GB/T17592)

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目的

特定芳香族アミン類の定性・定量分析を行う試験です。構造中にアゾ基を含むアゾ色素の中には、還元分解によって有害な芳香族アミンを生成するものがあります。欧州や中国において、そのように有害な芳香族アミンを生成するアゾ色素の使用が法規制されています。
日本においては、現在のところ法規制はされていませんが、平成24年3月29日に繊維産業連盟から公表された「繊維製品に係わる有害物質不使用に関する自主基準」により、関係者に対して安全性の確保が求められています。

国内における自主基準:

経済産業省において、2012年3月30日に「繊維製品の安全性の確保について~有害物質に変化し得る染料・顔料の使用自粛に向けた業界の自主基準に対する対応~」を通知されました。その中で、日本繊維産業連盟や社団法人日本皮革産業連合会の自主基準について紹介されています。

【外部リンク】

経済産業ニュースリリース

「繊維品等の安全性の確保について~有害物質に変化し得る染料・顔料の使用自粛に向けた業界の主基準に対する対応~」

欧州における規制:

欧州においては、DIRECTIVE 2002/ 61/ ECにて規制がされています。ドイツにおいては、連邦保健省が1994年に連邦官報に「生活必需品政令の変更に関する第2次政令」を公示し、製造と輸入が禁止されています。

中国における規制:

中国においては、2003年11月27日に、GB 18401-2003《国家繊維製品の基本安全技術要求規範》が発布され、明確に規制(強制的国家標準)されています。

試験方法

EN14362及びGB/T17592に基づき試験を実施します。素材によって抽出方法が若干異なりますが、緩衝溶液中に抽出した後還元し、生成したアリルアミン類をガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)と高速液体クロマトグラフ分析装置(HPLC)を用い、定性・定量分析を行います。
GC-MS とHPLCの説明はこちら

規制対象の特定芳香族アミン類(名称は一例であり、別の名称で表現されることがあります)
CAS No.及び名称 構造 CAS No.及び名称 構造
92-67-1
ビフェニル-4-イルアミン
biphenyl-4-ylamine
838-88-0
4,4′-メチレンジ-o-トルイジン
4,4′-methylenedi-o-toluidine
92-87-5
ベンジジン
benzidine
120-71-8
6-メトキシ-m-トルイジン
6-methoxy-m-toluidine
95-69-2
4-クロロ-o-トルイジン
4-chloro-o-toluidine
101-14-4
4,4′-メチレン-ビス-
(2-クロロ-アニリン)
4,4′-methylene-bis-
(2-chloro-aniline)
91-59-8
2-ナフチルアミン
2-naphthylamine
101-80-4
4,4′-オキシジアニリン
4,4′-oxydianiline
97-56-3
o-アミノアゾトルエン
o-aminoazotoluene
139-65-1
4,4′-チオジアニリン
4,4′-thiodianiline
99-55-8
5-ニトロ-o-トルイジン
5-nitro-o-toluidine
95-53-4
o-トルイジン
o-toluidine
106-47-8
4-クロロアニリン
4-chloroaniline
95-80-7
4-メチル-m-フェニレンジアミン
4-methyl-m-phenylenediamine
615-05-4
4-メトキシ-m-フェニレンジアミン
4-methoxy-m-phenylenediamine
137-17-7
2,4,5-トリメチルアニリン
2,4,5-trimethylaniline
101-77-9
4,4′-ジアミノジフェニルメタン
4,4′-diaminodiphenylmethane
90-04-0
o-アニシジン
o-anisidine
91-94-1
3,3′-ジクロロベンジジン
3,3′-dichlorobenzidine
60-09-3
4-アミノアゾベンゼン
4-aminoazobenzene
119-90-4
3,3′-ジメトキシベンジジン
3,3′-dimethoxybenzidine
95-68-1*
2,4-キシリジン
2,4-xylidine
119-93-7
3,3′-ジメチルベンジジン
3,3′-dimethylbenzidine
87-62-7*
2,6-キシリジン
2,6-xylidine
*…中国GBの場合、この2物質も規制対象物質です