化粧品基準-配合制限成分(防腐剤)
配合制限成分 ~その2:防腐剤成分の配合制限~
1. 全ての化粧品に配合の制限がある成分
成 分 名 |
100g中の |
安息香酸 | 0.2g |
ツツジ目エゴノキ科エゴノキ属のアンソクコウノキ(Styrax benzoin)またはその他同属植物が産出する樹脂に含まれる主要成分である。アンソクコウノキなどの樹木に傷をつけてそこからにじみ出て固化した樹脂を採集する。日本国内では、キャビア、マーガリン、清涼飲料水、シロップ及び醤油に食品添加物として使用されている。 | |
安息香酸塩類 | 合計量として1.0g |
代表的なものが安息香酸Na。水に良く溶け、殺菌作用は弱いが、強い静菌作用(細菌等の微生物の増殖を抑制する作用)がある(殺菌作用はない)。安定性があまりよくないため、パラベン類と併用されるケースが多い。旧表示指定成分。 | |
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン | 0.20g |
強力な洗浄・殺菌・消毒効果がある両性界面活性剤の一種。両性石鹸とも呼ばれ、逆性石鹸と比較し毒性や刺激作用が弱いことから化粧品には幅広く使用されている。塩類は手術用器具の消毒にも使用される。旧表示指定成分。 | |
感光素 | 合計量として0.0020g |
感光素とは光に反応する物質の総称で、匂いの無い青緑色をした結晶性粉末のシアニン系色素。化粧品に配合される感光素には、感光素101号, 201号, 301号, 401号等があり、殺菌作用があるためにきびケア用の製品に配合されるケースがある。 | |
クロルクレゾール | 0.50g |
無色~白色の結晶または結晶性の粉末で、特異な臭いのする物質。メタクレゾールの誘導体であり、殺菌作用がある。経皮吸収され発疹、吹き出物などを引き起こす可能性も指摘されている。食品には使用禁止されている。旧表示指定成分。 | |
クロロブタノール | 0.10g |
抗菌・抗真菌作用があり、また局所麻酔作用もある。抗菌力は、塩化ベンザルコニウムよりは劣るが、毒性も低いと思われる。低温、PH6以下の酸性の状態では安定しているが、中性・アルカリ性の状態では不安定である。旧表示指定成分。 | |
サリチル酸 | |
サトウキビ、ブドウの葉や実などの植物から得られ、常温水に対する溶解性は低いが、熱湯・アルコール類には高い溶解性を示す。医薬品では、イボやウオノメ除去の目的で配合され、ニキビ予防の化粧品にも配合される。旧表示指定成分。 | 0.20g |
サリチル酸塩類 | |
サリチル酸のナトリウム塩である。殺菌作用や角質溶解作用があり、防腐剤や変性剤として配合される。旧表示指定成分。 | 合計量として1.0g |
ソルビン酸及びその塩類 | 合計量として0.50g |
防腐・殺菌剤として使用される。食品に対しても使用され、ソルビン酸カリウムやソルビン酸カルシウムは食品衛生法に基づく指定添加物となっている。旧表示指定成分。 | |
デヒドロ酢酸及びその塩類 | 合計量として0.50g |
水に溶けやすく、殺菌作用はないものの、カビ、酵母、好気性菌への静菌作用がある。一方で、乳酸菌・偏性嫌気性菌・グラム陰性菌に対しての作用は弱い。pHが低い(酸性)環境で効果が高い。食品にも利用される。旧表示指定成分。 | |
トリクロロヒドキシジフェニルエーテル(別名トリクロサン) | 0.10g |
薬用石鹸(液体)など医薬部外品、化粧品に使用される殺菌剤。黄色ブドウ球菌などグラム陽性菌に対して静菌力が強く、真菌類にたいしてはやや弱い。近年、米国食品医薬局(FDA)がトリクロサン等を含む製品についての規制を強化している。旧表示指定成分。 | |
パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩(表示名称:パラベン) | 合計量として1.0g |
化粧品に最もよく使われる防腐剤であり、安価で抗菌性が強く、広範囲の微生物に効果がある。以下の種類がある。メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン。一般的には、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンが多く使用される。旧表示指定成分。 | |
フェノキシエタノール | 1.0g |
グリコールエーテルというアルコールの一種で、玉露の揮発成分として発見された。パラベン類よりも殺菌力が劣るため、パラベン類よりも配合量が多くなるが、パラベンが効きにくい微生物に有効な面もあり、パラベン類と組み合わせて配合されるケースが多い。エタノールとは構造も性質も大きく異なっている。 | |
フェノール | 0.10g |
多種多様のフェノール類があるが、基本的には、六角形の炭素環(ベンゼン環)にOH(水酸基)がついたものを指す。防腐剤として使用されるが、フェノールそのものが化粧品使用されることはあまりない。旧表示指定成分。 | |
ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム | 0.030g |
ラウリルアルコールとジアミノエチルグリシンのエステルのナトリウム塩である。殺菌剤、消臭剤で塩酸アルキルジアミノエチルグリシンともいう。うがい薬(医薬部外品)の有効成分としても使用されている。 | |
レゾルシン | 0.10g |
フェノールに類似する殺菌作用があるが、フェノールより殺菌作用が強い。サリチル酸と比べても刺激性は強いが、角質溶解作用は弱い。にきびなどの予防化粧品(医薬部外品)や、ふけ・かゆみ防止の目的で頭髪用化粧品に配合されるケースがある。旧表示指定成分。 |
2. 化粧品の種類により配合の制限のある成分
成 分 名 |
100g中の最大配合量(g) |
説 明 |
||
粘膜に使用されることのない化粧品のうち洗い流すもの | 粘膜に使用されることのない化粧品のうち洗い流さないもの | 粘膜に使用されることがある化粧品 | ||
亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト1 |
1.0 |
1.0 |
配合禁止 |
亜鉛は人体に必須の微量元素である。化粧品には、酸化亜鉛として使用されるケースが多い。ゼオライトとは、アルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものの総称。化粧品では、結晶性アルミノケイ酸塩に銀イオンを担持させた無機系の防腐剤等がある。 |
安息香酸パントテニルエチルエーテル |
配合上限 |
0.30 |
0.30 |
パントテニルエチルエーテル自体は、脱毛防止効果のあるパントテン酸の誘導体である。安息香酸とパントテニルエチルとのエステル体である。 |
イソプロピルメチルフェノール |
配合上限 |
0.10 |
0.10 |
殺菌作用がある成分で、広範囲の抗菌性、抗真菌性がある。にきび用化粧品によく配合される。医薬品としても使用されているが、その場合は医薬部外添加物としてである。旧表示指定成分。 |
塩化セチルピリジニウム |
5.0 |
1.0 |
0.010 |
ピリジン環を有する四級アンモニウム化合物であり、ブドウ球菌を始めとしたグラム陽性菌に対する強い殺菌作用があり、その他の真菌に対しても殺菌作用を有する。主に医薬部外品の液体歯磨剤やうがい薬などに利用されている。旧表示指定成分。 |
塩化ベンザルコニウム |
配合上限 |
0.050 |
0.050 |
陽イオン界面活性剤の一種であり、水溶液は日本薬局方収載医薬品で逆性石鹸として殺菌・消毒用に用いられる。コンタクトレンズ用液にも防腐剤として含有されている。旧表示指定成分。 |
塩化ベンゼトニウム |
0.50 |
0.20 |
配合禁止 |
塩化ベンザルコニウムと同じく陽イオン界面活性剤の一種。逆性石鹸として殺菌・消毒用に用いられる。マキロン(消毒液)の有効成分の一つ。旧表示指定成分。 |
塩酸クロルヘキシジン |
0.10 |
0.10 |
0.0010 |
殺菌剤の一種。フェノール系等の他の殺菌剤よりもより広範囲の菌に作用し、持続性もある。洗口液に使用されるケースもあるが、濃度については厳しく制限されている。旧表示指定成分。 |
オルトフェニルフェノール |
配合上限 |
0.30 |
0.30 |
化粧品には殺菌剤、防腐剤として用いられるが、食品添加物としても認められており、日本に輸入される柑橘類に防カビ剤として使用されている。旧表示指定成分。 |
オルトフェニルフェノールナトリウム |
0.15 |
0.15 |
配合禁止 |
オルトフェニルフェノール(OPP)のナトリウム塩。OPPと同じくカビ類に特に強い抗菌性がる。使用法はOPPと異なり、水溶液として噴霧か浸漬するか、又は被膜剤乳液に配合して使われる。 |
銀-銅ゼオライト2 |
0.5 |
0.5 |
配合禁止 |
平成17年10月18日の厚生労働省からの通知で配合可になった。ゼオライトに含まれるナトリウムイオンの一部を銀イオン及び銅イオンでイオン交換したもの。 |
グルコン酸クロルヘキシジン |
配合上限 |
0.050 |
0.050 |
グラム陽性/陰性菌のどちらにも有効であり、強い殺菌力を有する。但し真菌に対しては効果が劣り、ウィルスに対しては無効。歯周病にも効果があるとされ、洗口液に使用されるケースもある。病院でも消毒薬として広く使用されている。旧表示指定成分。 |
クレゾール |
0.010 |
0.010 |
配合禁止 |
フェノール類に分類される有機化合物。3%の濃度に薄めた水溶液であるリゾール(クレゾール石鹸液)が、従来、医療機関などで消毒薬として用いられている。独特の刺激臭あり。旧表示指定成分。 |
クロラミンT |
0.30 |
0.10 |
配合禁止 |
塩素化剤として用いられる有機化合物。消毒薬、殺菌剤として用いられるが、寄生虫の予防や飲料水の消毒などにも使用される。旧表示指定成分。 |
クロルキシレノール |
0.30 |
0.20 |
0.20 |
抗菌性化合物であり、石鹸や家庭用殺菌消毒薬においても一般的に使用されている。抗菌活性は低いが、添加剤によって増強される。旧表示指定成分。 |
クロルフェネシン |
0.30 |
0.30 |
配合禁止 |
抗真菌薬に配合されるほか、筋弛緩薬にも利用される。韓国から輸入される化粧品に含有されているケースが多い。旧表示指定成分。 |
クロルヘキシジン |
0.10 |
0.050 |
0.050 |
医療用の殺菌剤としても使用されるケースが多い。又、医薬部外品の薬用洗口液に歯肉炎、歯周病等を提言する作用があるとして添加されるケースもある。グルコン酸クロルヘキシジンは、旧表示指定成分。 |
1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン |
0.30 |
配合禁止 |
配合禁止 |
別名DMDMヒダントイン。ホルムアルデヒド遊離型の防腐剤である。処方された後、分解されホルムアルデヒドを遊離させる性質がある。配合されている場合は、「ホルムアルデヒドに過敏な方および乳幼児のご使用はおさけください」と表示しなければならない。 |
臭化アルキルイソキノリウム |
配合上限 |
0.050 |
0.050 |
別名ラウリルイソキノリニウムプロミド。四級アンモニウム塩の陽イオン界面活性剤。フケ、痒みの原因菌に対する抗菌力と殺菌力を有していることから、それを目的とするシャンプー、リンス等に主に使用されている。旧表示指定成分。 |
チアントール |
0.80 |
0.80 |
配合禁止 |
皮膚寄生虫などの除去に用いられる薬剤で、硫黄の化合物。皮膚寄生虫以外にも白癬菌等の真菌に対しても強力な効果を発揮する。日本薬局方には「チアントール軟膏」が収載されている。 |
チモール |
0.050 |
0.050 |
配合上限 |
モノテルベン(天然物化合物類)誘導体。防腐剤、殺菌剤として歯磨き粉、軟膏、石鹸などに用いられるほか、肝炎や肝硬変の検査試薬(チモール混濁テスト)でも使用されている。旧表示指定成分。 |
トリクロロカルバニリド |
配合上限 |
0.30 |
0.30 |
別名トリクロカルバン。グラム陽性菌に有効。液体絆創膏やデオドラント製品に利用される。フケやかゆみを抑える成分として薬用シャンプーに配合されることもある。2016年9月2日、米国FDA(食品医薬品局)が、トリクロサン、トリクロカルバン等を含む薬用石鹸の販売を禁止すると発表。旧表示指定成分。 |
パラクロルフェノール |
0.25 |
0.25 |
配合禁止 |
殺菌・消毒剤。歯科で根管治療に使用されるメトコールの有効成分の一つでもある。旧表示指定成分。 |
ハロカルバン |
配合上限 |
0.30 |
0.30 |
別名クロフルカルバン。消臭、殺菌、抗菌、制菌効果があり、幅広い化粧品に用いられる。皮膚刺激は弱いとされている。旧表示指定成分。 |
ヒノキチオール |
配合上限なし |
0.10 |
0.050 |
ヒノキ科植物ヒノキの樹皮から抽出・精製される。日本産のヒノキには含有されておらず、当初はタイワンヒノキから抽出していた。現在は化学合成でもできる。防腐力が強いことから養毛剤、育毛剤に配合されるケースが多い。 |
ピリチオン亜鉛 |
0.10 |
0.010 |
0.010 |
別名ジンクピリチオン。有機亜鉛錯体でピリジンの誘導体の一種。抗菌効果があるのでフケ防止の目的でシャンプーに処方されるケースもある。 |
ピロクトンオラミン |
0.05 |
0.05 |
配合禁止 |
殺菌効果や頭皮の皮脂分泌を制御する効果があり、フケやかゆみを防ぐ目的でシャンプー等に配合されている。真菌に対しても殺菌効果がある。 |
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピ゚ニル4 |
0.02 |
0.02 |
0.02 |
元々は木材の防腐用途で使用されていた。化粧品用に転用するにあたり刺激性はあまりないものの、感作性を考慮した上で左記の基準値が決まった。 |
ポリアミノプロピルビグアナイド |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
水溶性が非常に高い防腐剤。化粧品以外では、除菌効果のあるウェットティッシュ等に配合されている。EUでの上限は0.3となっている。 |
メチルイソチアゾリノン |
0.01 |
0.01 |
配合禁止 |
防腐剤として幅広く使用されている。特に欧州の化粧品にはよく使用されている。欧州では、2016年7月15日以降、洗い流す製品中の濃度を0.0015にした。旧表示指定成分。 |
メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液5 |
0.10 |
配合禁止 |
配合禁止 |
メチルイソチアゾリノンと一緒に使用されるケースが多い。欧州の化粧品にはよく使用されている。旧表示指定成分。 |
N,N”-メチレンビス[N’-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア] |
0.30 |
配合禁止 |
配合禁止 |
別名イミダゾリジニルウレア。ホルムアルデヒド遊離型の防腐剤である。米国製の化粧品の一部に使用されるケースがある。経時的に分解され、ホルムアルデヒドが発生する。配合されている場合は、「ホルムアルデヒドに過敏な方および乳幼児のご使用はおさけください」と表示しなければならない。旧表示指定成分。 |
ヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム |
0.0015 |
0.0015 |
配合禁止 |
別名プラルミン。感光素の一種であるため、感光素自体の配合量も含めて、処方を組むケースが多い。 |
1強熱した場合において、銀として0.2%~4.0%及び亜鉛として5.0%~15.0%を含有するものをいう。
2強熱した場合において、銀として0.2%~4.0%及び銅として4.9%~6.3%を含有するものをいう。
3粘膜に使用される化粧品であって、口腔に使用されるものに限り、配合することができる。
4エアゾール剤へ配合してはならない。
55-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリノン1.0~1.3%及び2-メチル-4-イソチアゾリノン0.30%~0.42%を含む水溶液をいう。
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