化粧品基準-配合制限成分(防腐剤・色素以外)
配合制限成分 ~その1:防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の制限~
1. 全ての化粧品に配合の制限がある成分
成 分 名 |
100g中の |
アラントインクロルヒドキシアルミニウム |
1.0g |
皮膚や粘膜など組織修復作用があり、傷の治りを早める働きをする。医薬品では、点眼薬、外皮用薬、外用痔疾用薬などに使われており、医薬部外品では、歯磨剤等この成分が使われており、歯肉炎の予防目的にも配合されている |
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カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ又はトウガラシチンキ |
合計量として1.0g |
カンタリスチンキ:マメハンミョウ科の甲虫「マメハンミョウ」を乾燥、粉末化した生薬「カンタリス」からエタノールで抽出するチンキ剤。発毛剤として使用される。旧表示指定成分。 |
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サリチル酸フェニル |
1.0g |
ポリマーやラッカー、接着剤、ワックス、医薬品(鎮痛剤)や防腐剤等に使用される。紫外線吸収剤としても使用される。但し皮膚から吸収されやすく、皮膚・粘膜への刺激も強い。旧表示指定成分。 |
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ポリオキシエチレンラウリルエーテル(8~10E.O.) |
2.0g |
分子式により多くの誘導体がある。8~10E.O.とは、C12EO8(オクタオキシエチレンラウリルテーテル)、C12EO9(ノナオキシエチレンラウリルエーテル)、C12EO10(デカオキシエチレンラウリルエーテル)を指す。EOが大きくなればなるほど分子量が増える。用途としては、化粧品用乳化剤、一般洗浄剤が多い。50%効果濃度(EC50)は、0.28mg/lというデータもある(ミジンコ)。 |
※化粧品基準では、100g中の最大配合量として上限値を記載している。微量分析で使われる単位であるppmに換算した場合、例えば100g中1.0gとは、10,000ppmを表す。
2. 化粧品の種類又は使用目的により配合の制限がある成分
化粧品の種類 |
成 分 名 |
100g中の |
エアゾール剤 |
ジルコニウム |
配合不可 |
原子番号40の元素。耐食性があり、空気中では酸化被膜ができ内部が侵されにくくなる。ファインセラミックスや顔料、触媒、差し歯等幅広く使用されている。但しジルコニウムを含んだ煙霧質は、肺に肉芽腫を作り得るとの報告もある。 |
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石鹸、シャンプー等の直ちに洗い流す化粧品 |
チラム |
0.50g |
チウラムとも呼ばれるジチオカーバメート系の殺菌剤であり、防腐剤としても使用されている。アレルギー性湿疹が起こる可能性も指摘されている。旧表示指定成分。
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石鹸、シャンプー等の直ちに洗い流す化粧品以外の化粧品 |
ウンデシレン酸モノエタノールアミド |
配合不可 |
厚生労働大臣の指定する医薬部外品の成分。防腐、殺菌剤として、主にシャンプーや石鹸に使用。アレルギー性皮膚炎を起こす可能性もあり。旧表示指定成分。 |
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チラム |
0.30g |
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チウラムとも呼ばれるジチオカーバメート系の殺菌剤であり、防腐剤としても使用されている。アレルギー性湿疹が起こる可能性も指摘されている。旧表示指定成分。 |
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パラフェノールスルホン酸亜鉛 |
2.0g |
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制汗剤で、汗を抑える収斂剤として使用されるケースが多い。パラフェノールスルホン酸亜鉛の金属塩としての作用として、汗の中に含まれるタンパク質と反応し、凝固物を作ることで汗腺を閉塞させる。 |
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2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール |
7.0g |
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UVB及びUVA域に吸収極大をもつ紫外線吸収剤。日焼け止め製品、クリーム、乳液等に使われている。 |
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ラウロイルサルコシンナトリウム |
配合不可 |
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アミノ酸系界面活性剤で、化粧品には洗浄・殺菌・乳化剤として、洗顔料やシャンプー、歯磨き粉などに使用される。洗い流すタイプのシャンプーには普通に配合されている。旧表示指定成分。 |
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頭部、粘膜部又は口腔内に使用される化粧品及びその他の部位に使用される化粧品で脂肪族2低級3一価4アルコール類を含有する化粧品(当該化粧品に配合された成分の溶解のみを目的として当該アルコール類を含有するものを除く)。 |
エストラジオール、エストロン又はエチニルエストラジオール |
合計量として20000国際単位5 |
エストラジオール:エストロゲンの一種で卵胞ホルモン又は女性ホルモンとも呼ばれる。皮脂分泌抑制、細胞賦活作用があり、クリームなどの化粧品に使用される |
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頭部、粘膜部又は口腔内に使用される化粧品以外の化粧品で脂肪族低級一価アルコール類を含有しない化粧品(当該化粧品に配合された成分の溶解のみを目的として当該アルコール類を含有するものを含む)。 |
エストラジオール、エストロン又はエチニルエストラジオール |
合計量として50000国際単位 |
エストラジオール:エストロゲンの一種で卵胞ホルモン又は女性ホルモンとも呼ばれる。皮脂分泌抑制、細胞賦活作用があり、クリームなどの化粧品に使用される |
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頭部のみに使用される化粧品 |
アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤 |
0.010g |
肌荒れの状態の時に、弱い刺激でも皮膚の中にある肥満細胞が破れ、ヒスタミンが放出されてかゆみが出ることがある。ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸等のアミノエーテル型抗ヒスタミン剤に限って化粧品への配合が認められている
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頭部のみに使用される化粧品以外の化粧品 |
アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤 |
配合不可 |
肌荒れの状態の時に、弱い刺激でも皮膚の中にある肥満細胞が破れ、ヒスタミンが放出されてかゆみが出ることがある。ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸等のアミノエーテル型抗ヒスタミン剤に限って化粧品への配合が認められている |
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歯磨 |
ジエチレングリコール |
配合不可 |
不飽和ポリエチレン樹脂等プラスチック製品の原料として使用されるが、2007年頃、シロップ剤かぜ薬へのジエチレングリコール混入により約100人の死者が出たパナマの事件や、米国FDAによるジエチレングリコール混入の歯磨剤の回収を指示等大きな問題となっていた。日本でも日本薬局方において、グリセリン及び濃グリセリンの純度試験に「ジエチレングリコール0.1%以下」という規定を設けている。 |
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ラウロイルサルコシンナトリウム |
0.50g |
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アミノ酸系界面活性剤で、化粧品には洗浄・殺菌・乳化剤として、洗顔料やシャンプー、歯磨き粉などに使用される。洗い流すタイプのシャンプーには普通に配合されている。旧表示指定成分。 |
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ミツロウ及びサラシミツロウを乳化させる目的で使用するもの |
ホウ砂 |
0.76g |
ミツロウとは蜜蜂の巣を構成するロウを精製したものであり、古くから化粧品に配合されている保湿力の高い素材。サラシミツロウは、このミツロウを日光に晒して脱色・脱臭したもの。ホウ砂は、ホウ素の原料鉱石として工業的に使用される以外にも、化粧品としては、ホウ砂に含まれる塩がミツロウの油脂分を一部鹸化し、鹸化された石鹸分が乳化作用を発生させるメカニズムである。 |
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ミツロウ及びサラシミツロウを乳化させる目的以外で使用するもの |
ホウ砂 |
配合不可 |
ホウ砂は、ホウ素の原料鉱石として工業的に使用される以外にも、化粧品としては、ホウ砂に含まれる塩がミツロウの油脂分を一部鹸化し、鹸化された石鹸分が乳化作用を発生させるメカニズムである。 |
3. 化粧品の種類により配合の制限のある成分
成分名 |
100g中の最大配合量(g) |
説 明 |
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粘膜に使用されることのない化粧品のうち洗い流すもの |
粘膜に使用されることのない化粧品のうち洗い流さないもの |
粘膜に使用されることがある化粧品 |
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タイソウエキス6 |
配合上限なし |
配合上限なし |
5.0 |
タイソウとはナツメのこと。別名ナツメエキス。糖質や有機酸を多く含み、主に保湿や収斂作用がある。 |
チオクト酸 |
0.01 |
0.01 |
配合禁止 |
別名α-リポ酸。日本国内では医薬品成分に限定されていたが、2004年よりサプリメント等への配合が認められた。内用で抗酸化作用があると言われている。 |
ユビデカレノン |
0.03 |
0.03 |
配合禁止 |
総称はユビキノン。コエンザイムQ10とも呼ばれ、脂溶性の物質で、ヒトの体内で合成されている「ビタミン様物質」である。抗酸化作用があると言われ、サプリメントにも広く使用されている。化粧品では、アンチエイジングを謳う商品に使用されるケースがある。 |
12001年4月に化粧品の全成分表示が義務づけられる以前は、102の表示指定成分をラベルに表示する義務があった。表示指定成分は「使う人の体質によってまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」である。全成分表示が始まり、成分を見て商品を選べるようになったが、旧表示指定成分がどれなのかは分からなくなった。
2非環式又は環式の非芳香族性の炭素化合物で、脂肪酸アルコールは通常8個から22個の炭素鎖から構成されているものを指す。
3アルコール分子中の、ヒドロキシ基の結合している炭素原子に結合している炭素原子の個数による分類があり、第一級、第二級、第三級とある。
4アルコール分子中のヒドロキシ基の個数。一価であればヒドロキシは1つ。
5国際単位(IU)とは、薬理学で用いられる単位でビタミン・ホルモン・酵素などの生理的効力をその量で示す単位。
6日本薬局方タイソウを30%(w/v)エタノール水溶液で抽出することにより得られるエキスをいう。
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