半合成繊維 (アセテート・トリアセテート、プロミックス)について
半合成繊維について
半合成繊維とは、セルロースやタンパク質の天然の高分子を主体として化学的に処理をして、繊維としたものをいいます。代表的な繊維として、木材パルプを主な原料としたアセテート、トリアセテート。牛乳カゼインを原料としたプロミックスがあります。
アセテートについて
アセテートは「水酸基の74%以上92%未満が酢酸化されている酢酸セルロース」と定義されています。普通アセテートという場合は、ジアセテートを指します。アセテートは加熱された紡糸原液が口金から加熱空気中に吐出され、溶剤(アセトン)を蒸発させて糸とする乾式紡糸法によって作られます。
特徴
1.独特の光沢がある。
2.しなやかで発色性に優れている。
3.反面シワや湿潤時及び強度などの点で扱いが難しい。
2.しなやかで発色性に優れている。
3.反面シワや湿潤時及び強度などの点で扱いが難しい。
アセテートの鑑別時の特徴
繊 維 名 |
アセテート |
英字名 |
|
Acetate |
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顕微鏡観察 |
側面の形状 |
繊維軸方向に1~2本の線条が走っている。 |
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断面の形状 |
クローバの葉状である。 |
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よう素よう化カリウムによる着色 |
淡黄色 |
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BOKENSTAIN IIによる着色 |
黄みの橙 |
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燃焼試験 |
燃焼状態 |
溶融しながら燃える。 |
|
臭 |
酢酸臭がある。 |
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灰 |
黒くて硬くもろい。 |
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主な試薬による溶解性 |
アセトンに溶解する。 |
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繊維中の塩素の有無 |
無 |
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繊維中の窒素の有無 |
無 |
アセテートの顕微鏡写真について | |
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側面 | 断面 |
トリアセテートについて
トリアセテートとは、水酸基の92%以上の酢酸化されている酢酸セルロースと定義されています。セルロースの構成単位であるぶどう糖の構造中のOH基の3個に結合したものをトリアセテートと呼びます。トリアセテートも乾式紡糸法によって作られますが、溶剤には塩化メチレン/メタノール混合溶剤が用いられています。
トリアセテートの特徴
1.比較的シワになりにくく、湿潤時の強度低下も小さい。
2.ジアセテートと比較して、絹に近い風合いを持ち濃色が出しやすく発色性に優れている。
2.ジアセテートと比較して、絹に近い風合いを持ち濃色が出しやすく発色性に優れている。
トリアセテートの繊維鑑別時の特徴
繊 維 名 |
トリアセテート |
英字名 |
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Triacetate |
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顕微鏡観察 |
側面の形状 |
繊維軸方向に1~2本の線条が走っている。 |
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断面の形状 |
クローバーの葉状である。 |
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よう素よう化カリウムによる着色 |
淡黄色 |
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BOKENSTAIN IIによる着色 |
黄 |
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燃焼試験 |
燃焼状態 |
溶融しながら燃える。 |
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臭 |
酢酸臭がする。 |
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灰 |
黒くて硬くもろい。 |
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主な試薬による溶解性 |
ジクロロメタンに溶解する。 |
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繊維中の塩素の有無 |
無 |
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繊維中の窒素の有無 |
無 |
トリアセテートの顕微鏡写真について | |
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側面 | 断面 |
プロミックスについて
プロミックスとは、牛乳蛋白であるカゼインを溶解して、アクリロニトリルと重合させて作った繊維であり、たんぱく質を質量比で30%以上60%未満含むと定義されています。
プロミックスの繊維鑑別時の特徴
繊 維 名 |
プロミックス |
英字名 |
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Promix |
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顕微鏡観察 |
側面の形状 |
繊維軸方向に細い線条が走っている。 |
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断面の形状 |
周辺に不規則な凹凸のあるだ円形又はまゆ形 |
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よう素よう化カリウムによる着色 |
うすい茶色 |
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BOKENSTAIN IIによる着色 |
くすんだ茶色 |
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燃焼試験 |
燃焼状態 |
収縮しながら溶融して燃える。 |
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臭 |
毛髪の燃える臭い |
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灰 |
黒色のややもろい灰 |
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主な試薬による溶解性 |
溶解する試薬はない。 |
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繊維中の塩素の有無 |
無 |
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繊維中の窒素の有無 |
有 |
プロミックスの光学顕微鏡写真について | |
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