事務いす用キャスターの性能試験(JIS S 1038) 2025/12/1 目的 キャスター付きのチェアは座りながら移動ができるという利便性からオフィスや一般家庭など幅広いシーンで使用されており、私たちのライフワークに不可欠なものとなっております。その中でキャスターは日々の使用においてチェアの自重に加えて使用者の全体重が加わることから最も負荷が加わるパーツです。そのため、使用環境や頻度によっては走行距離が短くても早期に破損する可能性があります。キャスターが破損すると床を傷つけるだけではなく、転倒による思わぬ事故に繋がる可能性もあります。ボーケンでは「JIS S 1038 事務いす用キャスター」に基づく性能試験として「耐荷重性試験」「荷重走行性能試験」「衝撃走行性能試験」などを行っております。 試験方法 耐荷重性試験(JIS S 1038) 耐荷重性試験ではキャスターに垂直方向の静荷重が加わった際の性能を評価する試験です。キャスターの主軸を下図の様に固定し、1471Nの荷重を主軸に平行に3分間負荷(双輪の場合は、双輪に均等に)した後、荷重を取り除き、車輪の状態を調べます。 耐荷重性試験 要求性能車輪は復元性が良好で有害なき裂、離脱などがないこと。 荷重走行性能試験(JIS S 1038) 荷重走行性能試験は、キャスターに規定荷重が加わった状態で往復走行させた際の性能を評価する試験です。下図のようにキャスターを試験用いす脚(3個のキャスターに平均に荷重がかかる構造)にそれぞれ取り付け、鋼板床面上を荷重1029.7Nを載荷した状態で走行距離約1mを約800m/hの速さで反復させ、6km走行させた後、各部の状態を調べます。ただし、約3km走行したときに約30分間止めて冷却しても良いです。 荷重走行性能試験 また、ボーケンではチェアにキャスターが取り付けられた製品状態でも試験可能です。例)キャスター5個場合の荷重 343N/個×5個=1715N 荷重走行性能試験(製品状態) 要求性能円滑に作動し、有害なき裂、離脱などがないこと。 衝撃走行性能試験(JIS S 1038) 衝撃走行性能試験は、キャスターに規定荷重が加わった状態で障害物を乗り超えて走行させた際の性能を評価する試験です。下図のようにキャスターに343Nの荷重を負荷し、鋼製の突起物のある鋼製ドラムを1.5km/hの円周速度で10km回転させ、試験終了後、各部の状態を調べます。ただし、約3km走行したときに約30分間止めて冷却しても良いです。回転体に取り付けた突起物(双輪の場合は、双輪同時に当たる様にする。)は、ドラム円周上1m以内に1個とし、その形状寸法は長さ6㎜、高さ3㎜、半径3㎜とする。 衝撃走行性能試験 要求性能円滑に作動し、各部に破損のないこと。※キャスター付きのチェアは座ったまま移動ができるというメリットがありますが、車輪と床面との相性によっては車輪の動きが悪くなったり、場合によっては床材に傷をつけてしまう可能性があります。一般的にはカーペットなどの柔らかい床にはナイロン製やハードウレタン製キャスターが、フローリングなど軟らかい床にはゴム製やソフトウレタン製キャスターが適しているといわれています。 関連記事 オフィス用回転椅子の前縁安定性、前方安定性、肘掛けのない椅子の側方安定性、背もたれ傾斜機能付き椅子の後方安定性(JIS S 1206)オフィス用回転椅子の肘掛けの静荷重試験、耐久性試験(JIS S 1206)座面及び背もたれの耐久性 (JIS S 1203) お問い合わせ 上記試験に関するお問い合わせフォームはこちら 東京生活用品試験センター〒135-0001 東京都江東区毛利1丁目12番1号TEL:03-5669-1382 大阪生活用品試験センター〒552-0021 大阪市港区築港1丁目6番24号TEL:06-6577-0124