ロックウェル硬さ試験(JIS Z 2245) 2025/10/1 目的 金属材料おいて「硬さ」は実用上重要な指標となります。硬さの測定方法は様々ですが、その中でもロックウェル硬さ試験は他の硬さ試験(ビッカース硬さ試験、ブリネル硬さ試験)の様に圧痕面積を測定しなくても、圧子の押し込み深さから硬さの算出が可能で比較的に簡便かつ短時間で測定できるといった特徴があります。その為、材料や製品の強度(引張、曲げ、圧縮など)の代用試験として広く使用されています。 ロックウェル硬さ試験の概要 試験片 製品または材料の規格に別途指定の無い限り、滑らかで凹凸がなく、酸化物の被膜(スケール)及び異物(特に潤滑剤)の付着していない表面で試験を行います。また、試験片の仕上げに関しては、過熱、冷間加工などによる表面の硬さの変化を最小限に抑えるように行います。 試験機 ロックウェル硬さ試験機は主に目盛板、圧子、ダイヤル、試料台、ハンドルなどで構成されています。 ロックウェル硬さ試験機 測定結果例(Cスケール) ロックウェル硬さ試験機による測定の様子 測定方法 規定寸法、形状及び材質の圧子を試験片表面に、規定された条件を用い2段階の試験力レベルで押し込んだ際の値を読み取ります。①まず、初試験力を負荷し、初期の圧子深さを測定します。※この初試験力により、試験片の表面の状況(多少の表面の酸化被膜や、凹凸等)をある程度無視することができます。②次に追加試験力を負荷し、全試験力(=初試験力+追加試験力)に到達させます。③追加試験力を除荷し初試験力に戻して、最終の圧子深さを測定します。 ④初期の圧子深さと最終の圧子深さとの差から永久くぼみ深さとし、 永久くぼみ深さから下記の算出式でロックウェル硬さを算出します。 ロックウェル硬さ(※)=100-h/0.002 h:永久くぼみ深さ(mm) ※ロックウェル硬さの数値が大きいほど硬い素材を意味します。 ロックウェル硬さのスケール ロックウェル硬さはスケールと称して、圧子の種類と試験荷重の組み合わせにより固有の硬さ記号を設けています。なお、JIS Z 2245:2021「ロックウェル硬さ試験-試験方法」では、A~Kのスケールが設定されています。 ロックウェル硬さのスケール及びその内容スケール硬さ記号圧子初試験力F0(N)全試験力F(N)適用する範囲AHRA円すい形ダイヤモンド98.07588.420~95HRABHRB球b)1.5875mm98.07980.710~100HRBCHRC円すい形ダイヤモンド98.07147120a)~70HRCDHRD円すい形ダイヤモンド98.07980.740~77HRDEHRE球b)3.175mm98.07980.770~100HREFHRF球b)1.5875mm98.07588.460~100HRFGHRG球b)1.5875mm98.07147130~94HRGHHRH球b)3.175mm98.07588.480~100HRHKHRK球b)3.175mm98.07147140~100HRKa) ダイヤモンド圧子の表面が、先端から0.4mm以上のくぼみ深さに相当する部分まで研磨されていれば、10HRCまで適用する範囲を広げてもよい。b) 他に規定がない場合、超硬合金球を用い、硬さ記号の末尾(用いた球圧子の種類)に”W“を付ける。他の規定によって、鋼球を用いた場合、”S”を付ける。ボーケンではCスケール(HRC)の測定が可能です。※HRCスケールはクロムモリブデン鋼(SCM435、SCM440)、快削鋼(SUM)、高炭素鋼(SK2、SK4)などの比較的高硬度の材料に用いられます。 要求性能(例)規格番号規格名称対象部位要求性能JIS A 8902ショベル及びスコップ刃先から25~50mmの箇所ショベル丸形:37~49HRCその他の種類:30~45HRC※ただし、板厚1.4mm未満の場合65.5~73HRAJIS B 4623ペンチペンチの刃部56~64HRCJIS B 4630スパナ本体丸形(普通級):36HRC以上丸形(強力級):39HRC以上やり形:39HRC以上JIS B 9212刈払機用回転刈刃刈刃本体37~50HRCただし、単体内の硬さのばらつき2HRC以下 関連記事 促進耐候性試験(キセノン)中性塩水噴霧試験耐熱性試験 (JIS S 2029) 問い合わせ先 生活産業資材事業本部東京生活用品試験センター TEL:03-5669-1382大阪生活用品試験センター TEL:06-6577-0124こちらのお問合せフォームよりご連絡ください。