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試験方法から探す

医療ガーゼ・脱脂綿、医療用不織布、絆創膏の試験

基準の目的

例えばガーゼは、「純綿単糸→整形・糊付→織機→精錬・漂白」を経て加工されます。しかし、加工時の処理が不十分であると変色など経時変化を起こし、品質低下の原因となります。また衣料品では色を白く見せるために使用する蛍光増白剤、青色色素が使用されている場合がありますが、蛍光増白剤、青色色素の中には有害な成分が含まれているものもあり、使用すると人体に影響を及ぼす可能性があります。そのため、安全に使用できるように衛生材料の種類ごとに基準が設定されています。

衛生材料に係る試験について

医療、介護等に使用される衛生材料(ガーゼ・脱脂綿、不織布、絆創膏等)の安全性を評価するための試験です。ボーケンでは、衛生材料に求められる基準の中で、主に化学的要求事項について試験を実施しています。

試験項目

衛生材料の種類

定義

化学的要求事項

医療ガーゼ

薬食審第063001号
(平成17年6月30日)

出血の抑制、液の吸収、擦過傷、乾燥又は汚染からの器官の保護のため、外科切開口、ほかの皮膚損傷又は内部構造に適用することを目的として主にガーゼからなる器具 1)酸又はアルカリ、2)水溶性物質
3)デキストリン又はデンプン、4)色素、
5)蛍光増白剤、6)沈降速度、
7)その他の繊維、8)灰分
医療脱脂綿

薬食審第063001号
(平成17年6月30日)

医薬品を塗布又は患者の体表から小著の体液を吸収する医療目的に使用されるパッド上の綿繊維からなる材料 1)酸又はアルカリ、2)水溶性物質
3)色素、4)蛍光増白剤、5)沈降速度、
6)吸水量、7)その他の繊維、
8)ネップ及び混在物、9)灰分
医療用不織布試験

医療用不織布研究委員会
(昭和53年9月11日)

繊維を化学的又は機械的に処理して結合させ布状としたもので滅菌され創傷面に使用できるものをいう。 1)pH、2)過マンガン酸カリウム還元性物質
3)蒸発残留物、4)色素、5)泡立ち、
6)ホルムアルデヒド7)重金属、8)灰分、
9)蛍光増白剤
救急絆創膏の自主基準

一社)日本衛生材料工業連合会
救急絆創膏の自主基準
(平成25年5月14日改定)

身体の部位に用いる接着剤を付した布製又はプラスチック製等の各種形状の絆創膏材料をいう。パッドを付する場合もある。 <粘着テープ>
1)pH、2)重金属、3)蒸発残留物
4)過マンガン酸カリウム還元性物質
<パッド>
1)泡立ち、2)pH
3)過マンガン酸カリウム還元性物質
4)蒸発残留物、5)蛍光増白剤
医療不織布ガーゼ試験
医薬審第540号
(平成12年3月30日)
セルロース繊維などの単一繊維又は複数の繊維からなるガーゼ状製品または不織布繊維であって、ガーゼの代用とされるものである。ただし、日本薬局方に記載されたガーゼ、脱脂綿は含まない。 1)溶出物、2)泡立ち、3)pH、
4)過マンガン酸カリウム還元性物質、
5)蒸発残留物、6)蛍光増泊剤

試験項目の解説

酸又はアルカリ、pH
製造工程中に使用した酸・アルカリ性薬剤の洗い残しがないかを確認する試験です。
水溶性物質、蒸発残留物
水で溶出した溶液を蒸発させた時、蒸発せずに残った物質の量を測定する試験です。漂白による硫酸カルシウム、漂白助剤の界面活性剤、過度の漂白で生じた酸化セルロースなどが原因として挙げられます。
デキストリン又はデンプン
のり付時に使用したのりの残存を確認する試験です。
色素
アルコールで溶出したとき、着色がないかを確認する試験です。色を白くみせかけるために使用される補色剤(青色色素)などを使用していると溶出する場合があります。
蛍光増白剤
蛍光増白剤の使用を確認する試験です。
沈降速度、吸水量
試料に油分が含まれていないかを確認する試験です。油分が多いと吸水量が悪くなります。
ネップ及び混在物
ネップ(nep)とは紡績用語で繊維がもつれ合った小塊、混在物とは綿花の種子、葉、茎、がくなどの破片などの総称です。基準では径2.5 mm以上のネップ及び混在物の合計は5個以下となっています。
灰分
試料を高温で加熱し、灰になった物の重量を測定する試験です。製造工程中の洗浄が不十分で不純物や汚れが残っていると値が大きくなります。
重金属
試料に存在する重金属全体の量を鉛として確認する試験です。付着している不純物などが原因で検出されることがあります。
過マンガン酸カリウム還元性物質
水に溶出する有機物の量を測定する試験です。製造工程中の洗浄が不十分で不純物や汚れが残っていると値が大きくなります。
泡立ち
水で溶出した溶液を一定時間振とうしたとき、泡立ちが10分以上持続しないかを確認する試験です。界面活性剤の残存を確認します。