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鉛の含有量測定試験

目的

金属製アクセサリー類の鉛の含有量および溶出量を測定する試験です。
平成18 年3 月6 日発表の東京都の調査により、都内のスーパーや100円ショップなどで販売されている
100~1000円程度の指輪やネックレス、携帯電話ストラップなどの鉛の含有量を測定したところ、
米国消費者製品安全委員会(CPSC)当時の暫定基準濃度(0.06%)を上回った製品が多数あることが
明らかになりました。現在日本には金属製アクセサリー類等の鉛に関する規制などはありませんが、
消費者の安全性を確保するため、販売事業者へ対応が求められています。

試験方法

米国消費者製品安全委員会(CPSC)から出された暫定方針に準拠した含有量試験を実施します。
また、エネルギー分散形蛍光X線試験装置を用いた簡便な非破壊定性試験も実施可能です。

①含有量試験(ICP発光分光分析試験)

CPSC報告に準じた、鉛の含有量測定を実施します。
試料を硝酸等で溶解させて、ICP発光分光分析装置を用いて鉛の含有量を算出します。
この試験方法は試験片を溶解させますので、破壊試験になります。

【評価の目安】

消費者製品安全性改善法(CPSIA)基準値:100ppm(ug/g)以下

【ICP発光分光分析装置】

誘導結合プラズマ発光分光分析装置とは、一般にICP-AES(Inductively Coupled Plasma- Atomic Emission Spectrometry)とも呼ばれています。
分析の原理としては、コイルに高周波電流を流し、その磁界の時間変化より発生する電界によって放電が
起きます。発生した高温アンゴンプラズマ中に液体試料を霧化して導入すると、熱エネルギーにより励起され、
光が発生します。この光を分光器で元素特有のスペクトルに分け、そのスペクトルの強度により試料に含まれる
元素の濃度を測定します。分析対象成分は、金属元素全般です。

cpsc_ lead.1.jpg

 

②定性試験(蛍光X線分析試験)

エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて、簡便な非破壊定性試験を実施します。
鉛の有無を確認することが可能です。

【エネルギー分散型蛍光X線分析装置】

エネルギー分散型蛍光X線分析装置は一般にEDXRF(Energy Dispersive X-Ray Fluorescence Spectrometry)
と呼ばれています。
X線分析装置の原理としては、X線を試料に照射し、試料から発生する蛍光X線を検出・分光して元素分析を
行います。そのうちエネルギー分散型は、液体はもちろん、固体も非破壊で分析可能であり、測定点が1㎜以上
であれば測定可能です。ただし軽元素ほど分析感度が低下したり、表面の凹凸によって分析値に影響が出たり
する面もあります。そこで種々の分析の前段階のスクリーニングとして用いられることが多いです。
分析対象成分は、Na~Uまで元素全般(ただし例外あり)です。

cpsc_ lead.2.jpg