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食品衛生法に基づく試験の概要

食品衛生法の第18条に基づき、昭和34年厚生省告示第370号(食品・添加物等の規格基準)の3器具及び容器包装の規格及び試験法が、4おもちゃ又はその原料の規格とおもちゃの製造基準が定められています。

ボーケンが行うことができる食品衛生法関係業務の検査の種類

検査の種類

器具及び容器包装

おもちゃ

合成樹脂製

ガラス製等

ゴム製

金属缶

製品検査(命令検査) 1

×

×

×

×

自主検査(輸入検査) 2

品目登録検査 3

一般依頼検査 4

〇:実施できる検査 ×:実施できない検査 -:実施していない検査

※1: 製品検査(命令検査):法第26条第1項から第3項までの厚生労働大臣又は都道府県知事の検査命令による検査 ※2: 自主検査(輸入検査):法第27条の輸入の届出による検査(輸入者が厚生労働省検疫所に提出する食品等輸入届出書に登録検査機関の試験成績書を必要とする検査) ※3: 品目登録検査:同一食品等を継続的に輸入する場合、予めサンプル試験品を試験し、初回輸入時、厚生労働省検疫所に提出する食品等輸入届出書に登録検査機関の試験成績書を必要とする検査(品目登録制度による検査) ※4: 一般依頼検査:国内製造・販売事業者、輸入者等が自主的に食品衛生の管理上行う検査

1.食品衛生法における器具及び容器包装とは

食品衛生法の対象となる器具及び容器包装は、「食品に接触するもの」であり、下記に例を示します。
器具 製造加工用 食品・添加物などの製造装置、加工装置、調理器具、コンベア、パイプなど
貯蔵、運搬用 タンク、ボトル、バット、バケツ、段ボール箱、コンテナ、ラップフィルム、袋など
陳列販売用 トレー、かご、敷き紙、はかり、はし、手袋など
調理用 鍋、釜、フライパン、まな板、包丁、しゃくし、ボール、ポット、炊飯器、トースター、ミキサー、ラップフィルム、アルミホイルなど
飲食用 茶碗、椀、鉢、皿、コップ、はし、スプーン、弁当箱、しょう油差しなど
容器 食品と接触している、袋、ビン、缶、箱、パック、カップ、トレー、チューブ、ふた、栓など
包装 食品を包んでいる、ラップフィルム、チューブ、包装紙、アルミホイルなど

2.合成樹脂製の器具及び容器包装の規格検査

合成樹脂製品には低分子量の化合物が存在し、また、様々な添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤等)が加えられており、加熱など使用条件によっては食品に溶出する可能性があります。 一般規格の4項目(材質試験によるカドミウ及び鉛、溶出試験による重金属、過マンガン酸カリウム消費量)はすべての合成樹脂製器具・容器包装に適用されます。また、原料モノマーや触媒などの個別規格が設定されている合成樹脂(フエノール樹脂・メラミン樹脂・ユリア樹脂原料とする合成樹脂、ホルムアルデヒドを原料とする合成樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン・ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ホリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸)ではその個別規格にも適合しなければなりません。

3.ガラス製、陶磁器製又はホウロウ引きの器具又は容器包装の材質別規格

陶磁器及びホウロウ引き製品には着色顔料や釉薬などが使用され、中には有害金属であるカドミウム、鉛を含むものがあります。また、クリスタルガラスには鉛が多く含有され溶出する可能性があることから、カドミウム及び鉛の溶出量が規制されています。

4.ゴム製の器具及び容器包装の規格検査

ゴム製の器具及び容器包装には、天然ゴムの他、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど多くの合成ゴムが使われています。 ゴムには、合成樹脂と同様に酸化防止剤等の安定剤や充填剤が添加され、さらに、加硫剤、加硫促進剤も加えられています。これらの溶出を低く抑えるため、蒸発残留物量、加硫剤由来の亜鉛、加硫促進剤由来のホルマリンや2-メルカプトイミダゾリン(塩素を含有するゴムに限る)、酸化防止剤の分解物であるフェノール、添加剤不純物のカドミウムと鉛が規制されています。

5.おもちゃの規格試験

おもちゃの規格試験は、①材質ごとの溶出試験、②可塑化された材料(ポリ塩化ビニル、ゴム、ポリウレタン)のフタル酸エステル類の材質試験、③塗膜の溶出試験、塗膜3元素(カドミウム、鉛、砒素)の試験、フタル酸エステル類の材質試験、④おもちゃの製造基準の着色料試験に分かれます。すなわち、おもちゃの素材や色別に①、②の試験を行い、塗装されていれば、その素材や色ごとに③の試験も行い、おもちゃ全体で④の試験も行う必要があります。

6.検査に必要な試験体量

(1)器具及び容器包装

材質試験

溶出試験(※1)

蒸発残留物

(1溶媒)

蒸発残留物

(2溶媒)

蒸発残留物

(3溶媒)

蒸発残留物

(4溶媒)

ポリエチレン、ポリプロピレン製

3 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ポリスチレン製

5 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ポリエチレンテレフタレート製

3 g

600cm2

900cm2

1200cm2

1500cm2

ポリエチレンナフタレート製

3 g

600cm2

900cm2

1200cm2

1500cm2

ポリメタクリル酸メチル製

3 g

600 cm2

900 cm2

1200 cm2

1500 cm2

ポリカーボネート製

6 g

600 cm2

900 cm2

1200 cm2

1500 cm2

フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂製

3 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂

3 g

600 cm2

900 cm2

1200 cm2

1500 cm2

ポリ塩化ビニル製

11 g

600 cm2

900 cm2

1200 cm2

1500 cm2

ポリ塩化ビニリデン製

6 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ポリアミド製

3 g

600 cm2

900 cm2

1200 cm2

1500 cm2

ポリメチルペンテン製

3 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ポリビニルアルコール製

3 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

ポリ乳酸製

3 g

550 cm2

850 cm2

1150 cm2

1450 cm2

その他の合成樹脂製

3 g

250 cm2

ゴム製(ほ乳器具を除く)

3 g

450 cm2

750 cm2

1050 cm2

ゴム製ほ乳器具

40 g

ガラス、陶磁器、ホウロウ引き

2 個

※1 食品が触れる部分の面積

(2)おもちゃ

材質試験

溶出試験

塗膜3元素(Cd,Pb,As)

着色料試験

うつし絵

(着色部分) 60 cm2

製品2個

折り紙

60 cm2

ゴム製おしゃぶり

40g

ポリ塩化ビニル製

5 g

600 cm2 (※2)

製品2個

ゴム・ポリウレタン製

5 g

ポリエチレン製

500 cm2 (※3)

金属アクセサリー

製品1個

その他の材質

ポリ塩化ビニル塗膜

5 g

400 cm2 (※4)

(1色あたり) 0.1 g

ゴム・ポリウレタン塗膜

5 g

(1色あたり) 0.1 g

その他の樹脂塗膜

(1色あたり) 0.1 g

※2 ポリ塩化ビニル部分の表面積が1個あたり19.5cm2未満の時は溶出試験の必要はありません。 ※3 ポリエチレン部分の表面積が1個あたり14.5cm2未満の時は溶出試験の必要はありません。 ※4 ポリ塩化ビニル塗膜部分の表面積が1個あたり12.5cm2未満の時は溶出試験の必要はありません。