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試験方法から探す

防ダニ性

目的

ダニは人間の生活環境に潜む非常に小さな節足動物であり、種類によってはかゆみやアレルギーの原因になるといわれています。そこでダニの忌避、増殖抑制、通過防止などの性能を付与した「防ダニ性素材」が開発されています。
忌避加工・増殖抑制加工は、繊維に加工薬剤を固着させることによりますが、通過防止は極細繊維等を用いて織物を高密度化させるなどにより、ダニを物理的に通過させないようにした素材です。このような素材の防ダニ性能を評価するために行う試験です。インテリアファブリックス性能評価協議会は、忌避加工、増殖抑制加工について、防ダニ加工マークの制度を実施しています。

試験方法

忌避試験と増殖抑制試験は「JIS L 1920繊維製品の防ダニ性試験方法」に基づいて試験を実施します。目的や素材によって試験方法が異なり、ヤケヒョウダニというダニを用いて試験をします。

【インテリアファブリックス性能評価協議会基準に規定される品目と試験項目】

品目

試験項目

忌避試験

増殖抑制試験

カーペット

侵入阻止法

A

布団

中わた

ガラス管法

B

側地

侵入阻止法

シーツ・カバー類

侵入阻止法

①忌避試験法「JIS L 1920繊維製品の防ダニ性試験方法」

a) 侵入阻止法
試験片(直径約4cm)をシャーレ(小)に敷き詰め、誘引用飼料0.05gを中央部分に置きます。ダニ培地(10,000匹相当分)をシャーレ(大)に均一にばらまき、シャーレ(大)の中央にシャーレ(小)を重ねて置きます。これを25±2℃,75±5%RH、暗条件で静置します。24時間後、シャーレ(小)内への侵入ダニ数を計数し、下記の式に従い忌避率を算出します。

忌避率(%)=(無加工試料の侵入ダニ数-加工試料の侵入ダニ数)/無加工試料の侵入ダニ数×100

【侵入阻止法の模式図】

mite_control.1.jpg

b) ガラス管法
ガラス管(径2cm×長さ10cm)の一端に粘着テープを貼り、誘引用飼料を0.01gをガラス管に入れ、粘着テープに均一に付着させます。ダニ計数用わたをガラス管に入れ、A法では試料0.4g、B法では試料0.08gを2cmになるように詰めます。ガラス管の他端から4cmまでの間にダニ培地(10,000匹相当分)を入れ、高密度織物で口を塞ぎ、25±2℃,75±5%RH、暗条件で静置します。48時間後、誘引ダニ数(粘着テープ、誘引用飼料及びダニ計数用わたのダニ数)を計数し、下記の式に従い忌避率を算出します。

忌避率(%)=(無加工試料の誘引ダニ数-加工試料の誘引ダニ数)/無加工試料の誘引ダニ数×100

【ガラス管法の模式図】

mite_control.2.jpg

②増殖抑制試験「JIS L 1920繊維製品の防ダニ性試験方法」

A法は、試験片(直径4cm)をシャーレ(小)に敷き詰め、B法は、試料1gをサンプル管びんに詰めます。接種用ダニ培地0.1g(50~80匹相当分)をばらまき、25±2℃,75±5%RH、暗条件で静置します。4~8週間後、生存ダニ数を計数し、下記の式に従い増殖抑制率を算出します。


増殖抑制率(%)=(無加工試料の生存ダニ数-加工試料の生存ダニ数)/無加工試料の生存ダニ数×100

【増殖抑制試験の模式図】

mite_control.3.jpg

【評価基準】
インテリアファブリックス性能評価協議会基準
忌避率または増殖抑制率が50%以上であること
※各品目とも、定められた耐久性処理(加熱、UV照射、洗濯処理)を行った試料について指定されている試験方法の内のいずれか基準を満たしていることとする。

③通過防止試験「JIS L 1920繊維製品の防ダニ性試験方法」

ガラス管の開口部に試験片を取り付け、その上面をラップフィルムで被覆する。
ダニ培地(ダニ数約10,000匹)を投入後、もう片方の開口部にろ紙を接着し密封する。
24時間後に試験片から這い出してきたダニの数をラップフィルム越しに観察する。