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試験方法から探す

防汚性(JIS L 1919)

目的

防汚性試験は、繊維製品の汚れにくさ及び付いた汚れの落ちやすさを評価するために行う試験です。ボーケンでは、JIS L 1919「繊維製品の防汚性試験方法」に基づく防汚性試験の実施が可能です。

防汚性とは?

汚れを防止する機能のことを言います。繊維に汚れを付きにくくしたり、付いた汚れを洗濯で落ちやすくしたりした加工が施された繊維製品が最近では開発されています。防汚加工は、汚れの種類と防汚効果の違いにより、加工方法が異なります。

汚れ(汚染物質)の種類とは?

JIS L 1919「繊維製品の防汚性試験方法」に規定されている汚れの種類は、「泥汚れなどを想定した粗い粒子」、「気中に浮遊している粉塵」、「親水性汚れ」及び「親油性汚れ」です。
これらの汚れは、複雑に絡みながら繊維表面だけでなく、繊維間のすき間や繊維内部に付着しています。

A法 A-1法は、泥汚れなどを想定した粗い粒子を含んだ油性の粉体汚染物質との接触に対する、A-2法は、気中に浮遊している粉じんなどを想定した細かい粒子を含んだ乾性の粉体汚染物質に対する防汚性試験。
B法 親水性汚れに対する防汚性試験。
C法 親油性汚れに対する防汚性試験。

防汚効果を付与する方法とは?

防汚効果を付与するには、大きく分けてSG加工、SR加工、SGR加工の三つの方法があります。

SG(Soil Guard)
加工
汚れにくくする加工のことで、フッ素系樹脂加工等により、はっ水性とはつ油性を付与したものです。はっ水加工をすると親水性の汚れが付着しにくくなります。はっ水・はつ油加工すると、親水性及び親油性の汚れが付着しにくくなります。
SR(Soil Release)
加工
付着した汚れを洗濯やドライクリーニングで落ちやすくする加工の事で、親水化処理等を施したものです。疎水性の合成繊維は、繊維表面を親水化する加工を施すと洗濯により汚れが落ちやすくなります。
SGR(Soil Guard Release)
加工:
汚れが付きにくく、落ちやすい両方の効果を備えた加工のことをいいます。

試験方法

JIS L 1919繊維製品の防汚性試験方法」に基づいて試験を実施します。想定する汚れの種類に応じて、A法からC法のいずれかの試験方法を使用して試験します。

C法のイメージ

①A法(ICI形ピリング試験機を用いる方法)

A法は紛体汚れに対する繊維製品の防汚性を試験するもので、A-1法とA-2法があります。

a) A-1法(密閉形円筒容器を用いる方法)
A-1法は、泥汚れなどを想定した粗い粒子を含んだ油性の粉体汚染物質との接触に対する防汚性試験です。

汚れにくさ試験 規定の容器(密閉形合成樹脂製円筒容器:容量約2000ml)に粉体汚染物質-1を3g とゴム管に装着した試験片(10×10㎝)3個を同時に入れ密閉します。これをICI形ピリング試験機の回転箱(内側にダンボール箱を装着)に入れ、毎分 60±2回転の速度で20分間操作します。操作後、ゴム管から試験片をとりはずし、試験片の四隅を持ちかえて、試験片の裏面中央部を5回指ではじき、余分な汚れを取った後、汚染用グレースケールで判定します。
付いた汚れの
落ちやすさ試験
上記の汚れを付着させた試験片をJIS L 1930 C4M法により洗濯処理し、自然乾燥後、汚染用グレースケールで判定します。

b) A-2法(密閉形樹脂製袋を用いる方法)
A-2法は、気中に浮遊している粉塵などを想定した細かい粒子を含んだ乾性の粉体汚染物質に対する防汚性試験です。

汚れにくさ試験 規定の袋(チャック付きポリエチレン製袋:容量約2500ml)に粉体汚染物質-2 を1gと試験片(10×10㎝)1枚を入れ、袋一杯に空気を封入します。これをICI形ピリング試験機の回転箱に入れ、毎分60±2回転の速度で60分間操作します。操作後、試験片の四隅を持ちかえて、試験片の中央部を5回指ではじき、余分な汚れを取った後、汚染用グレースケールで判定します。
付いた汚れの
落ちやすさ試験
A-1法と同じ洗濯方法及び判定方法です。

①B法(スプレー法)

B法は親水性汚れに対する繊維製品の防汚性を試験する方法です。

汚れにくさ試験 操作はJIS L 1092のはっ水度試験(スプレー法)に準拠し、試験片上に人工汚染物質100mlを散布します。操作後、平干しで乾燥させ、汚染用グレースケールで判定します。
付いた汚れの
落ちやすさ試験
A-1法と同じ洗濯方法及び判定方法です。

②C法(滴下ふき取り法)

C法は親油性汚れに対する繊維製品の防汚性を試験する方法です。

汚れにくさ試験 試験片(10×10㎝)に人工汚染物質0.1mlを滴下し、1分間放置後、ろ紙で軽く押さえて余分な汚染物質を吸い取り、直ちに汚染用グレースケールで判定します。
付いた汚れの
落ちやすさ試験
A-1法と同じ洗濯方法及び判定方法です。