かび抵抗性試験(JIS Z 2911)|繊維製品・プラスチック製品の防かび性能評価
かび抵抗性試験(JIS Z 2911)とは?
かび抵抗性試験(防かび試験)は、製品や材料にかびが発育しにくいか(かび抵抗性・防かび性)を評価する試験です。製品にかびが発生すると、外観が損なわれるだけでなく、変色や異臭、脆化、強度低下などの品質劣化を引き起こす場合があります。そのため、屋外用品やプラスチック製品、建材、電気・電子機器など、湿気の多い環境で使用される製品では、防かび性能の評価が重要となります。
JIS Z 2911「かび抵抗性試験方法」では、繊維製品、プラスチック製品、一般工業製品、塗料、皮革製品、電気・電子製品などを対象とした試験方法が規定されています。
ボーケンでは第三者試験機関として、JIS Z 2911に基づくかび抵抗性試験を実施し、防かび加工の性能確認や品質管理、製品開発、認証取得をサポートしています。
JIS Z 2911の対象製品
- 繊維製品(衣料品、カーテン、テント、シートなど)
- プラスチック製品
- ゴム製品
- 建材、内装材
- 塗料、コーティング材
- 皮革、皮革製品
- 電気、電子機器 など幅広い素材、製品に適用できます。
試験方法(JIS Z 2911)
JIS Z 2911では、製品の種類に応じて試験方法が規定されています。
繊維製品の試験
◆試験対象かび
試験には4種類の混合胞子を使用します。
- クロコウジカビ(Aspergillus niger)
- アオカビ(Penicillium citrinum)
- ケトミウム(Chaetomium globosum)
- ミロテシウム(Myrothecium verrucaria)
繊維製品では、用途に応じて乾式法と湿式法があります。
乾式法
◆対象製品
衣料用、屋内用、衣装用などの繊維製品
◆試験方法
試料(5 cm × 5 cm)の上に胞子担体(混合胞子懸濁液を付着・乾燥させた磁器素焼板)を置き、その上にガラス板を載せてシャーレ内で培養します。
◆培養条件
温度:26℃
湿度:95%RH~99%RH
培養期間:4週間
培養後、試料表面の菌糸の発育状態を観察します。
湿式法
◆対象製品
屋外用品、水回り製品など、特に高いかび抵抗性が求められる繊維製品
◆試験方法
平板培地上に試料(5 cm × 5 cm)を貼り付け、混合胞子懸濁液を接種して培養します。
◆培養条件
温度:26℃
培養期間:2週間
培養後、試料表面の菌糸の発育状態を観察します。
乾式法と湿式法の違い
| 項目 | 乾式法 | 湿式法 |
| 対象 | 衣料品・屋内用品など | 屋外用品、高耐久用途品など |
| 培養期間 | 4週間 | 2週間 |
| かびの栄養分 | なし | あり |
| 想定環境 | 比較的清浄な環境での使用を想定 | 多湿で汚れやすいなど、 かびが発生しやすい環境を想定 |
繊維製品の評価方法
| 菌糸の発育状態 | 評価 |
| 菌糸の発育が認められない | 0 |
| 菌糸の発育が試料面積の1/3を超えない | 1 |
| 菌糸の発育が試料面積の1/3を超える | 2 |
試験結果例
湿式法 結果:2
プラスチック製品の試験
◆試験対象かび
試験には5種類の混合胞子を使用します。
- クロコウジカビ(Aspergillus niger)
- アオカビ(Talaromyces pinophilus)
- ペシロミセス(Paecilomyces variotii)
- トリコデルマ(Trichoderma virens)
- ケトミウム(Chaetomium globosum)
プラスチック製品では、用途に応じて「方法A」と「方法B」があります。
方法A
◆評価目的
有機物(栄養源)が存在しない条件での、試料そのもののかび抵抗性を評価します。
◆試験方法
シャーレ内に試料(5 cm × 5 cm)を置き、混合胞子懸濁液を接種します。
◆培養条件
温度:29℃
培養期間:4週間
培養後、試料表面の菌糸の発育状態を観察します。
方法B
◆評価目的
栄養成分が存在する条件で、防かび加工などによるかび発育抑制効果を評価します。
◆試験方法
栄養成分を含む平板培地上に試料(5 cm × 5 cm)を貼付し、混合胞子懸濁液を接種します。
◆培養条件
温度:29℃
培養期間:4週間
培養後、試料表面の菌糸の発育状態を観察します。
方法Aと方法Bの違い
| 項目 | 方法A | 方法B |
| 対象 | 材料そのもののかび抵抗性 | 防かび加工を含めた発育抑制効果 |
| かびの栄養分 | なし | あり |
| 想定環境 | 比較的清浄な環境での使用を想定 | 多湿で汚れやすいなど、 かびが発生しやすい環境を想定 |
プラスチック製品の評価方法
かびの発育状態の程度により8段階で評価します。評価値が小さいほど、かび抵抗性が高いことを示します。
| かびの発育状態 | 評価 |
| 肉眼・顕微鏡とも発育なし | 0 |
| 肉眼では認められず顕微鏡のみ確認(25%以下) | 1a |
| 肉眼では認められず顕微鏡のみ確認(26〜50%) | 1b |
| 肉眼では認められず顕微鏡のみ確認(50%超) | 1c |
| 肉眼で25%以下発育 | 2 |
| 肉眼で26〜50%発育 | 3 |
| 肉眼で50%超発育 | 4 |
| 全面に著しく発育 | 5 |
評価基準
JIS Z 2911では、防かび性能の合否判定基準は規定されておらず、
かびの発育状態を評価する試験方法のみが規定されています。
一方、SIAAでは本規格を用いた登録基準として、以下の基準を定めています。
- 無加工試験片(対照試験片)に比べて判定基準で1段階以上下回ること。かつ
- 加工品は0~2であり、無加工試験片は2以上であること。
試験結果例
方法B 結果:4
SIAAマーク認証試験に対応
一般社団法人抗菌製品技術協議会(SIAA)では、繊維製品を除く防かび加工製品について、防かび加工製品の認証制度(SIAAマーク)を運用しています。この認証では、JIS Z 2911 方法Bによる評価結果を用いて、防かび性能を確認します。一方、繊維製品の防かび加工については、一般社団法人繊維評価技術協議会(繊技協)が運用するSEKマーク制度の対象となり、JIS L 1921「繊維製品の抗かび性試験方法及び抗かび効果」に基づく評価を実施しています。
【対象マーク】
かび抵抗性試験(JIS Z 2911)と抗かび性試験(JIS L 1921)の違い
| 項目 | JIS Z 2911 | JIS L 1921 |
| 評価対象 | 繊維・プラスチック・建材など | 繊維製品のみ |
| 試験の目的 | 素材・製品のかび抵抗性の評価 | 抗かび加工製品の抗かび効果の評価 |
| マーク制度 | SIAA(繊維以外) | SEK |
FAQ(よくあるご質問)
| Q. | どのような製品が試験できますか? |
| A. | 繊維製品、プラスチック製品、ゴム製品、塗料、皮革製品、建材、電気・電子機器など、幅広い製品・素材について評価が可能です。 |
| Q. | 試験片のサイズに指定はありますか? |
| A. | 標準では5 cm×5 cmで試験します。その他のサイズや形状の場合は事前にご相談ください。 |
| Q. | 防カビ剤の評価はできますか? |
| A. | JIS Z 2911は製品のかび抵抗性を評価する試験であり、防カビ剤単体を評価する試験ではありません。 防カビ剤の評価をご希望の場合は、目的に応じた評価方法をご提案します。 |
| Q. | SIAAマーク取得用の試験は実施できますか? |
| A. | はい。ボーケンでは、SIAAが定める防かび性能評価試験に対応しています。 |
| Q. | JIS Z 2911で繊維製品のSIAAマークは取得できますか? |
| A. | 繊維製品はSIAAマークの対象外です。繊維製品に対する防かび性能のマークはSEKマークがあり、JIS L 1921での試験が必要です。 |
| Q. | 試験にはどれくらい時間がかかりますか? |
| A. | 培養期間は試験方法によって異なります。繊維製品(乾式法):4週間、繊維製品(湿式法):2週間、プラスチック製品(方法A・B):4週間。詳細な納期についてはお問い合わせください。 |
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