帯電性試験(JIS L 1094・JIS T 8118):繊維製品
目的
静電気のたまりにくさや逃げやすさを評価する試験です。
帯電性とは?
静電気を多く又は長く蓄積する性質を帯電性と呼びます。静電気は物質同士の摩擦や接触によって電子が移動し、電荷のバランスが崩れる事によって発生します。衣料品では静電気の発生しやすさ(帯電圧・電荷量)や静電気の逃げやすさ(半減期)を測ることが一般的です。
※電荷:ある物質がもっているプラス、マイナスの電気の量のこと
電子:原子の中のマイナスの電荷を持った粒子のこと
静電気が発生すると・・
衣料品が過度の静電気を帯びると、衣服のまとわりつきが発生したり、「バチッ」という音と共に放電して痛みを感じたりなど、不快感の原因となります。また、石油化学工場やガソリンスタンドなどで静電気を帯びたまま作業をすると引火や爆発の危険性があり、精密機器を扱う工場などでは静電気による機器の破損やクリーンルームの汚染が発生する可能性があります。
静電気を防止するには
- 生地の導電性を高め、静電気が蓄積する前に空気中に放電させる
- 生地の吸湿性を高めることで導電性を高め、静電気を放電させる
- 摩擦され得る素材に合わせた材質を選ぶ (下記FAQ(よくあるご質問)の図を参照)
静電気防止素材
導電素材や帯電防止素材などがあります。
導電素材
導電繊維を混用することにより制電(帯電防止)効果を付与した素材です。
導電繊維とは、放電効果のある炭素や特殊金属等を繊維に練り込んだり、繊維表面に固着させたりしたものです。
帯電防止素材
親水基を持つ制電剤(界面活性剤)や制電性樹脂の皮膜を後加工したり、親水基を持つ制電剤や制電性ポリマーを合成繊維の紡糸時に混合することにより、静電気を逃がしたり、電気的に中和したりする性能を付与した素材です。
試験方法
帯電性を評価する試験は複数あります。用途や性能によって試験方法を選択する必要があります。
| 用途 | 評価内容 | 試験方法一例 | |
|---|---|---|---|
| 一般 衣料 | 衣服のまつわり付き | JIS L 1094 「織物及び編物の帯電性試験方法」 | A法 半減期測定法 B法 摩擦帯電圧測定法 |
| ほこり付着 | B法 摩擦帯電圧測定法 C法 摩擦帯電電荷量測定法 | ||
| 放電障害、 導電性繊維 | C法 摩擦帯電電荷量測定法 | ||
| 作業服 | JIS T 8118 「静電気帯電防止作業服」 | ||
①「JIS L 1094 織物及び編物の帯電性試験方法」
ボーケンでは下記の3種類の試験を実施しており、いずれも20℃±2℃ 、(40±2)%RHの環境下で実施します。(静電気の発生しやすい状態を再現するため、通常の標準状態よりも湿度が低い設定となっています)
A法 半減期測定法
静電気の逃げやすさを評価することができます。
試験片(45mm×45mm)を10kVの印加電圧で帯電させた後、この帯電圧が1/2に減衰するまでの時間(s)を測定します。この時間を「半減期」と言います。
B法 摩擦帯電圧測定法
静電気のたまりにくさを評価することができます。
試験片(50mm×80mm)を取り付けたドラムを回転させながら摩擦布(毛・綿)で摩擦し、発生した帯電圧(V)を測定します。
C法 摩擦帯電電荷量測定法
試験片(250mm×350mm)を摩擦布(ナイロン、アクリル)で摩擦(手動)後、ファラデーケージに投入し、帯電電荷量を測定し、単位面積当たりの帯電電荷量(μC/㎡)を求めます。
評価の目安
半減期:10秒以下
摩擦帯電圧:2000V以下
(基準値は各社基準により異なります。)
②「JIS T 8118 静電気帯電防止作業服」
洗濯処理5回実施後、試験を行います。
a) 製品の試験
試料を摩擦装置(家庭用タンブル乾燥機、内張摩擦布:ナイロン、アクリル)内に入れて運転(60℃ , 15分間)後、ファラデーケージに投入し、帯電電荷量(μC)を測定します。
b) 生地の試験
試験方法は上記 JIS L 1094 C法 摩擦帯電電荷量測定法と同じ。
但し温湿度条件は、20℃±2℃ 、(30±3)%RH。
評価の目安
帯電防止作業服の性能(JIS T 8118規定)
製品 0.6μC以下
生地 7μC/㎡
これらの他に、電気抵抗を測る試験も実施可能です。
FAQ(よくあるご質問)
| Q. | 洗濯処理によって帯電しやすくなりますか? |
| A. | 洗濯による表面状態の変化が帯電性の試験結果に影響を及ぼす場合があり、悪くなるケース、良くなるケース、あまり変化ないケースのいずれもあります。 なお、JISには洗剤の影響ではなく加工の耐久性を見るため、お湯によるすすぎ洗いが定められています。洗剤を除去してから実施いたしますので、洗剤の効果を見たい場合はご連絡ください。 |
| Q. | 擦られる素材によって試験結果の帯電圧や実際のパチパチ感が変化するのはなぜですか? |
| A. | プラスに帯電しやすい素材、マイナスに帯電しやすい素材があり、その序列を帯電列(下図)と呼びます。帯電列のプラス側の素材とマイナス側の素材が擦られた際に帯電しやすいと言われます。 (例)ウールのセーターとポリエステルのシャツを重ね着すると、静電気が帯電しやすいことが多い ただし、加工や染料によっても帯電列は変わる可能性があり、生地自体の表面構造も影響するため、あくまで目安となります。 |
| Q. | 生地以外でも実施は可能ですか? |
| A. | 可能です。糸やテープの場合は台紙に巻き付けて実施いたします。羽毛や粒わたについては単体では実施ができないため、袋状にした生地に試料を詰めて実施する必要があります。 |
| Q. | 繊維製品以外でも実施は可能ですか? |
| A. | フィルムやプラスチックについては試料の重さ・厚みによっては半減期測定法・摩擦帯電圧測定法は実施が可能です。重すぎる・厚すぎる場合は測定できない場合がありますので、ご相談ください。 |
| Q. | 摩擦帯電圧測定法にて、摩擦布を変更することは可能ですか? |
| A. | 表地と裏地の相性を確認したい場合などに実施可能です。ただし、伸張性が高い試料についてはうまく摩擦できない場合がございます。 |
| Q. | 海外でも実施できますか? |
| A. | 常州試験センターにて実施が可能です。受付はどの拠点でも行っていますので、お気軽にご相談ください。 |
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機能性事業本部 東京機能性試験センター
TEL:03-5669-1415
