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試験方法から探す

帯電性

目的

静電気のたまりにくさや逃げやすさを評価する試験です。

帯電性とは?

静電気をためる性質のことをいいます。

静電気が発生すると・・

衣料品が過度の静電気を帯びると、衣服のまとわりつきが発生したり、「バチッ」という音と共に放電して痛みを感じたりなど、不快感の原因となります。また、石油化学工場やガソリンスタンドなどで静電気を帯びたまま作業をすると引火や爆発の危険性があり、精密機器を扱う工場などでは静電気による機器の破損やクリーンルームの汚染が発生する可能性があります。

静電気を防止するには

衣料品が静電気を帯びるのを防止するためには、生地の導電性(電気を通す性質)を高めます。 導電性を高めることにより、静電気が蓄積される前に放電し、静電気を逃がします。

静電気防止素材

導電素材や帯電防止素材などがあります。

導電素材

導電繊維を混用することにより制電(帯電防止)効果を付与した素材です。
導電繊維とは、放電効果のある炭素や特殊金属等を繊維に練り込んだり、繊維表面に固着させたりしたものです。

帯電防止素材

親水基を持つ制電剤(界面活性剤)や制電性樹脂の皮膜を後加工したり、親水基を持つ制電剤や制電性ポリマーを合成繊維の紡糸時に混合することにより、静電気を逃がしたり、電気的に中和したりする性能を付与した素材です。

試験方法

帯電性を評価する試験は複数あります。用途や性能によって試験方法を選択する必要があります。

用途別試験方法例

用途
評価内容
試験方法一例
一般衣料 衣服のまつわり付き JIS L 1094
「織物及び編物の帯電性試験方法」
A法 半減期測定法
B法 摩擦帯電圧測定法
ほこり付着 B法 摩擦帯電圧測定法
C法 摩擦帯電電荷量測定法
放電障害、
導電性繊維
C法 摩擦帯電電荷量測定法
作業服 JIS T 8118 「静電気帯電防止作業服」

①「JIS L 1094 織物及び編物の帯電性試験方法」

ボーケンでは下記の3種類の試験を実施しており、いずれも20℃±2℃ 、(40±2)%RHの環境下で実施します。(静電気の発生しやすい状態を再現するため、通常の標準状態よりも湿度が低い設定となっています)
A法 半減期測定法
静電気の逃げやすさを評価することができます。
試験片(45mm×45mm)を10kVの印加電圧で帯電させた後、この帯電圧が1/2に減衰するまでの時間(s)を測定します。この時間を「半減期」と言います。

B法 摩擦帯電圧測定法
静電気のたまりにくさを評価することができます。
試験片(50mm×80mm)を取り付けたドラムを回転させながら摩擦布(毛・綿)で摩擦し、発生した帯電圧(V)を測定します。

【摩擦帯電圧測定装置】

 

C法 摩擦帯電電荷量測定法
試験片(250mm×350mm)を摩擦布(ナイロン、アクリル)で摩擦(手動)後、ファラデーケージに投入し、帯電電荷量を測定し、単位面積当たりの帯電電荷量(μC/㎡)を求めます。

【帯電電荷量測定用ファラデーケージ】

 

【評価の目安】
半減期:10秒以下
摩擦帯電圧:2000V以下
(基準値は各社基準により異なります。)

②「JIS T 8118 静電気帯電防止作業服」

洗濯処理5回実施後、試験を行います。
a) 製品の試験
試料を摩擦装置(家庭用タンブル乾燥機、内張摩擦布:ナイロン、アクリル)内に入れて運転(60℃ , 15分間)後、ファラデーケージに投入し、帯電電荷量(μC)を測定します。
b) 生地の試験
試験方法は上記 JIS L 1094 C法 摩擦帯電電荷量測定法と同じ。
但し温湿度条件は、20℃±2℃ 、(30±3)%RH。
【評価の目安】
帯電防止作業服の性能(JIS T 8118規定)
製品 0.6μC以下
生地 7μC/㎡