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法律・表示等の知識を学ぶ

繊維製品の規制関連

ホルムアルデヒドは、繊維製品の製造・加工・機能付加に当たって非常に多く使われてきた化学物質ですが有害性も有しております。では、どのような有害性を持つのかを考えてみましょう。

背   景

ホルムアルデヒドは、非常に有用でさまざまなところで使用されているとともに、その有害性から種々の規制を受けている化学物質です。では、なぜホルムアルデヒドは規制を受けなければならないのでしょうか。
「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」をもとに、繊維関連について、少し詳しくホルムアルデヒドについて説明していきましょう。

ホルムアルデヒドとは

少し化学の話をさせていただきますが、嫌がらずにお読みください。
ホルムアルデヒドとは、右図に示されるような化学構造を持つ有機化合物の一種です。有機化合物とは、炭素・水素・酸素などを主な構成成分とする化合物の総称で、たんぱく質や油脂なども同じグループに入ります。
ホルムアルデヒドは、沸騰する温度が-19.5℃と通常の室温では気体になり、また、水に大変溶けやすい物質で、このホルムアルデヒドを水に溶かした溶液をホルマリンと呼んでいます。1)

用   途

ホルムアルデヒドは非常に用途の広い化合物であり、プラスチックの原材料や防腐剤(カエル等の標本を満たしている液体(いわゆるホルマリン漬け)として使用されていました)、工業用試薬などとして広く用いられています。1)
繊維関連では、防しわ性や防縮性を与えるための樹脂加工時に使用する湿潤架橋剤や接着剤にホルムアルデヒドが含まれるケースがあります。2)

有 害 性

ホルムアルデヒドの有害性については、「化学物質の初期リスク評価書」に詳しく記述されており、その中で、アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ等)を引き起こす恐れのある化合物であることが示されています。3)
アレルギー性接触皮膚炎とは、特定の物質と接触することによって生じる皮膚の炎症の内、免疫システムによるものと言われています。4)
アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)は、漆や金属など無数にありますが、ホルムアルデヒドもそのうちのひとつです。
このような有害性を持つことから、日本では、先に示した「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」の中で、2歳以下の乳幼児向け繊維製品には吸光度0.05以下又は、試料1g当たり16μg以下、その他の下着、寝衣、手袋等、皮膚と長時間接触することが考えられる繊維製品について試料1g当たり75μg以下と規制しています。5)
以上に述べてきましたように、ホルムアルデヒドは皮膚炎を引き起こす危険性のある化合物ですが、水に溶けやすいことから、洗浄によってその大部分を取り除くことが可能です。
しかしながら、何度洗ってもホルムアルデヒドが除去できない…についてはこちらへ 

参考文献>
1)化学大辞典 ㈱東京化学同人 1989年10月
2)ボーケンセミナーテキスト3 染色・仕上加工 2004年6月
3)化学物質の初期リスク評価書ver1.0 No.71 ホルムアルデヒド (独)製品評価技術基盤機構 2006年2月
http://www.safe.nite.go.jp/risk/pdf/tebiki_honbun.pdf
4)メルクマニュアル  http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/index.html
5)保健衛生安全基準 家庭用品規制関係実務便覧 第一法規㈱