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法律・表示等の知識を学ぶ

重金属とは

重金属類には有害性を有する物質が多く、そのため様々な形で規制されています。
ここでは、それぞれの重金属の有害性と法規制について広く紹介することで、 重金属類について、理解を深めていただければと考えています。

背   景

重金属の中には、有害性が認められている種類が多数存在します。
では、重金属とは具体的にどのような金属を指すのでしょうか。考えてみましょう。

重金属の定義

金属は、一般に軽金属と重金属に大きく分類されます。
この中で重金属の定義は「密度の大きい金属をいう。一般に密度4~5g/cm3以上を重金属という」1)とされています。少しあいまいですね。この定義で言うと、鉄を含めてほとんどの金属が重金属に分類されます。
金属には、程度の差はありますが摂取することにより健康を害する恐れのあるものがあり(例:水俣病の有機水銀、イタイイタイ病のカドミウム等)、金属の種類を指定して法の中で様々な規制がかけられています。よく耳にする重金属とは、有害性のある金属を指すことが多いように感じます。

 

周期律表

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
H He
Li Be B C N O F Ne
Na Mg Al Si P S Cl Ar
K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
Cs Ba *1 Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
Fr Ra *2 Rf Db Sg Bh Hs Mt
:広義の重金属に含まれると考えられる金属類
:*1・・・ランタノイド
*2・・・アクチノイド
ただしアルカリ金属及びアルカリ土類金属は除く

重金属の種類

では、重金属にはどのようなものがあるのか、考えてみましょう。
病気の仕組みについて研究する学問に病理学というものがあります。その病理学の教科書を開いてみると、金属については、Pb(鉛)、Hg(水銀)、As(ヒ素)、Cd(カドミウム)、Ni(ニッケル)等について、その症状と毒性が記述2)されています。さらに、水質汚濁に係る環境基準(水質汚濁に係る環境上の条件につき維持することが望ましい基準)を見てみますと、Pb、Hg、As、Cd、Cr6+(六価クロム)について基準が設定3)されており、RoHS指令(EU有害物質使用制限令)では、Pb、Hg、Cd、Cr6+が規制対象物質として指定されております4)

 

 病理学における重金属 Pb、Hg、As、Cd、Ni
 水質汚濁に係る環境基準 Pb、Hg、As、Cd、Cr6+
 RoHS指令 Pb、Hg、Cd、Cr6+

まとめ

今回は、重金属についておおまかに説明させていただきました。以上をお読みいただいて、重金属について理解を深めていただけたかと存じます。
重金属の中にはPb、Hg、As、Cd、Cr6+等が含まれており、その有害性が非常に懸念されていることから、各種の法規制を受けております。

参考文献>
1)化学大辞典
大木道則他 編 ㈱東京化学同人 発行 1989年10月
2)カラー ルービン病理学-臨床医学への基盤-
エマニュエル・ルービン 編 鈴木利光他 監訳 西村書店 発行 2007年11月
3)新・公害防止の技術と法規2009水質編ⅠⅡ
公害防止の技術と法規編集委員会 編(社)産業環境管理協会 発行 2009年1月
4)図解よくわかるWEEE&RoHS指令とグリーン調達
-欧州環境規制で取引先が選別される-
WEEE&RoHS研究会 編 日刊工業新聞社 発行 2005年3月