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ポリエステルについて

ポリエステルについて

「テレフタル酸と2価アルコールとのエステル単位を質量比で85%以上含む長鎖状合成高分子からなる繊維」をポリエステルといいます。 ポリエステルは、吸汗速乾、防臭、抗菌等の機能性衣服の素材に使用されており、着心地がよく、シワの回復力も良く、汗や湿気を素早く吸収・拡散させることができ、加工がしやすく、様々な機能が付けやすいためです。

ナイロンとポリエステルの共通点と比較

ナイロンと同様に長繊維及び短繊維の両方が生産されています。ナイロンと比較してヤング率が高く、ハリ・コシのある綿、羊毛に近い優れた風合いが得られるために、長繊維はそのまま、あるいは加工糸となり、短繊維は綿、羊毛などとの混紡糸となって外衣、中間衣、寝装、インテリアなどの用途を中心に幅広く使用されています。

特徴

長所 1.優れた強度、伸度を持っており、衣料用合成繊維の中では耐熱性が高い方で、汎用性に富んでいる。 2.熱セット性が高いので、スカートのプリーツ加工等が容易である。 3.水分を吸いにくい(公定水分率 0.4%)ので、乾きが早い。 4.ヤング率が高く、ハリ・コシがあり、濡れても特性が変化しにくいので、シワになりにくく寸法安定性に優れた製品ができる。 5.紡糸しやすく、極細、特殊断面などの異形糸が作られている。 6.アルカリによって繊維表面から溶解し、絹織物からセリシンを除去したときのような軟らかな風合いが得られる(アルカリ減量加工など)。 7.用途、需要量の広がり、製造技術の進歩によって製造コストが低くなりつつある。 短所 1.吸湿性に乏しく夏の高湿期は蒸れやすい。また、冬の乾燥期には静電気が発生しやすい。 2.風合いが単調であり、製品に高級感を求めにくい。 3.紡績糸の織り編み物に毛玉(ピル)が発生しやすい。 4.一般に高温染色が必要であり、発色性はやや悪い。ただし、ポリマー改質、製糸技術、織り編み後の加工技術や天然繊維との巧みな混用により、これらの欠点の多くは解決されている。

ポリエステルの用途

衣料用 婦人子供服、紳士服、学生服、裏地、レインコート、ワイシャツ、ブラウス、ワーキングウェア、ネクタイ、くつ下、セーター、和服、スポーツウェアなど
インテリア 寝装用 カーテン、テーブルクロス、ふとんわた、シーツなど
産業用 シート、ホース、タイヤコード、漁網、ロープ、帆布、テントなど
その他 洋傘、縫糸、合成皮革、人工皮革、など

ポリエステルの鑑別時の特徴

顕微鏡 観察

側面の形状

表面は滑らかである。繊維方向に1本の線条が見られるもの、太い1本の線条のもの、数本の線条のもの多種類あり。

断面の形状

円形、三角形、中央が空洞(中空)、不規則な花弁状等の多種類のタイプがある。

よう素よう化カリウムによる着色

着色せず。

BOKENSTAIN IIによる着色

刈安色(薄い緑み黄)(ポリエステルのタイプにより色差が異なる)

燃焼 試験

燃焼状態

溶融しながら黒煙を上げて燃える。

非常に甘い臭い。(弱い)

硬く丸い黒色

主な試薬による溶解性

m-クレゾール(90℃)

繊維中の塩素の有無

繊維中の窒素の有無

レギュラータイプ
(光学顕微鏡)

異形断面ポリエステル①
(電子顕微鏡)

異形断面ポリエステル②
(電子顕微鏡)