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再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ)について

再生繊維について

木材中のセルロースを取り出し、これを化学処理により一度溶解し、再び元のセルロースに作り直して繊維にしたものを再生繊維といいます。

なぜ「再生繊維」と呼ぶの?

原料は天然に存在する高分子が用いられ、工程的には再生しているため、再生繊維と呼ばれます。

レーヨンについて

レーヨン(ビスコースレーヨン)は、木材パルプや竹などのセルロースをアルカリ(苛性ソーダ)及び二硫化炭素と反応させてアルカリ水溶液中に溶解し、これを口金から硫酸ナトリウム等に押しだし、引き延ばして繊維素(セルロース)を凝固・再生(湿式紡糸法と呼ぶ)して製造された繊維です。 製造された当初の繊維は光沢があることからray=「光」の語の入ったrayonと名付けられました。

特徴

長所
1.独特の強い光沢があり、染色しやすく発色性に優れている。
2.ドレープ性に優れている。
3.吸湿性があり制電性がよく、まとわりつかない。
4.耐熱性があり、高温でも軟化、溶融しない。

短所
1.吸湿すると極端に強度が小さくなる。
2.洗濯時には縮みやすい。
3.寸法安定性が低い。濡れると型崩れをして、しわになりやすい。

レーヨンの鑑別時の特徴

繊 維 名

レーヨン

英字名

Viscose rayon

顕微鏡観察

側面の形状

繊維軸方向に数本の線条が走っている。

断面の形状

輪郭は不規則な花弁状

よう素よう化カリウムによる着色

黒青緑色

BOKENSTAIN IIによる着色

暗い灰みの青

燃焼試験

燃焼状態

紙が燃えるようにゆっくり燃える。

紙の燃える臭い。

非常に小さく柔らかい灰色

主な試薬による溶解性

60%硫酸、酸化銅アンモニア溶液に溶解する。

繊維中の塩素の有無

繊維中の窒素の有無

主な脱色方法

ハイドロサルファイトナトリウム溶液(煮沸)

次亜塩素酸ナトリウム溶液(常温)

レーヨンの顕微鏡写真について
側面 断面
側面 断面

ポリノジックについて

ポリノジックはレーヨンの欠点を改良するため高重合度、高結晶度にして、紡出後の再生を遅くさせて製造させています。

特徴

1.強度が強く、湿状態での強度低下が少ない。
2.レーヨンと比べてハリ・コシがある。
3.細デニールができる。
4.織物の伸び縮みがほとんどなく寸法安定性に優れている。

ポリノジックの鑑別方法

繊  維  名

ポリノジック

英字名

Polynosic

顕微鏡観察

側面の形状

表面にあれがある。

断面の形状

円形

よう素よう化カリウムによる着色

黒青緑色

BOKENSTAIN IIによる着色

灰色

燃焼試験

燃焼状態

紙が燃えるようにゆっくり燃える。

紙が燃える臭い。

非常に小さく柔らかい灰色

主な試薬による溶解性

60%硫酸、酸化銅アンモニア溶液に溶解する。

繊維中の塩素の有無

繊維中の窒素の有無

主な脱色方法

ハイドロサルファイトナトリウム溶液(煮沸)

次亜塩素酸ナトリウム溶液(常温)

ポリノジックの顕微鏡写真について
ポリノジックの電子顕微鏡写真 ポリノジックの電子顕微鏡写真
側面 断面

キュプラについて

キュプラとは、実綿から綿花を取り去った後に残る短い繊維(コットンリンター)を原料パルプとして使用し、銅アンモニア溶液に溶解させ、これを紡糸液として紡糸し、セルロースを凝固・再生して製造された繊維を指しています。原料パルプの繊維素の質が良く繊維素の配列が揃っているため、ビスコースレーヨンと比較して糸物性、摩耗強度に優れた製品が得られます。商標名はベンベルグとして知られています。

特徴

光沢、染色のしやすさ、発色性、吸湿性、静電気の発生が少ないなどの特徴はビスコースレーヨンと同様です。

キュプラの鑑別時の特徴

繊  維  名

キュプラ

英字名

Cupro

顕微鏡観察

側面の形状

表面は滑らかである。

断面の形状

円形

よう素よう化カリウムによる着色

黒青緑色

BOKENSTAIN IIによる着色

こい青

燃焼試験

燃焼状態

紙が燃えるようにゆっくり燃える。

紙が燃える臭い。

非常に小さく柔らかい灰色

主な試薬による溶解性

60%硫酸、酸化銅アンモニア溶液に溶解する。

繊維中の塩素の有無

繊維中の窒素の有無

主な脱色方法

ハイドロサルファイトナトリウム溶液(煮沸)

次亜塩素酸ナトリウム溶液(常温)

キュプラの顕微鏡写真について
側面