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プラスチックの好気性崩壊度試験

この試験方法は、コンポスト化環境に暴露させたプラスチック材料の崩壊度を測定する。崩壊とは、材料が微小な破片に物理的に崩壊する現象を指す。生分解は、有機物が微生物によって、最終的に二酸化炭素と水に分解される現象である。従って、本試験方法の結果だけを以って、生分解性があるとは主張できないことに留意する必要がある。

規格番号

ISO 20200(JIS K 6954)

規格名称

プラスチック-実験室規模の模擬コンポスト化条件下でのプラスチック材料の崩壊度の測定

概要

シミュレートされた好気性コンポスト条件下において、実験室規模で試験材料の崩壊度を測定する。用いる固形媒体は、公設又は産業用コンポスト化プラントから得られる熟成コンポストを植種源とする合成固形廃棄物である。この調整された固形媒体に、プラスチックの試験材料がコンポスト化される。コンポスト化サイクル後に、コンポスト化終了後の媒体を、2mm径のふるいでふるい分けして、未崩壊の残渣を回収し、崩壊度を測定する。試験材料の質量減少は崩壊した材料とみなされ、崩壊度の計算に用いられる。

植種源

  • 合成固形廃棄物
    材料 乾燥質量(%)
    おがくず 40
    ウサギの餌 30
    熟成コンポスト 10
    コンスターチ 10
    サッカロース(ショ糖) 5
    コーン油 4
    尿素 1
    合計 100

試料形状

  • 崩壊試験に用いられる試験片の寸法
    試験材料の厚さ 試験片の寸法(たて×よこ×厚さ:mm)
    5mm未満 25×25×試験材料の厚さ
    5mm以上 15×15×(5~15の厚さ)
※ 前処理:40±2℃の真空乾燥機で恒量になるまで乾燥させ、試験前に蒸留水に30秒間浸漬させる。
※ 試験材料の、湿潤合成固形廃棄物に対する割合は、質量分率0.5〜2%の範囲とすること。

試験(コンポスト化)容器

  • 推奨容器:PP製でたて×よこ×高さが、30cm×20cm×10cm。
  • 過剰な水分の蒸発を避けるため、気密シール仕様の蓋であること。
  • よこ20cmの2辺の中央に、容器の底から約6.5cmの部分に直径5mmの穴をあけること。これら2個の穴でコンポスト内部の空気と外気との気体交換を行うため、塞がないこと。

試験温度

①58±2℃(高温培養期間)
②25±2℃(中温培養期間)
※原則、①で実施するが、試験期間90日で崩壊度が不十分な場合、②の中温培養期間で延長可能。

試験期間

①最大90日
②最大90日

コンポスト化手順

  • 高温培養期間
経過時間(日)作業
0反応器の初期質量を測定
1, 2, 3, 4, 7, 9, 11, 14反応器の質量を測定し、必要に応じて初期質量に戻すために水を添加。コンポストを混ぜる。
8, 10, 16, 18, 21, 23, 25, 28反応器の質量を測定し、必要に応じて初期質量に戻すために水を添加。コンポストを混ぜない。
30, 45反応器の質量を測定し、必要に応じて初期質量の80%になるまで水を添加。コンポストを混ぜる。
30~60日(週2回)反応器の質量を測定し、必要に応じて初期質量の80%になるまで水を添加。コンポストを混ぜる。
60日超(週2回)反応器の質量を測定し、必要に応じて初期質量の70%になるまで水を添加。コンポストを混ぜる。

診断パラメーター

  • 臭い

コンポスト化プロセス中、明確で特異な、においの変化が検知できる。試験開始後2、3日頃までは、合成廃棄物は酸っぱい臭い(カルボン酸臭)を発し、5~10日後には、徐々にアンモニア臭に変化し、約10日間続く。最終的に目立った臭いの無い、または土のような臭いになる。

  • 外観

最初の2週間にコンポストの外観は変化する。コンポストに生えた菌糸を最初の1週間で通常見ることができる。合成廃棄物は、高濃度のおがくずであるため、初期は明るい黄色であるが、10日以内に褐色に変化する。

  • 化学分析

試験の最初と最後の総炭素/総窒素比(C/N比)とpH値を測定するために、試験開始時に用いた合成廃棄物及びコンポスト化プロセス終了時に得られたコンポストの試料をふるいにかけた後、組成を分析し、pHを測定する。

  • 乾燥質量と揮発性固形物含量の測定

ふるいをかけて、試験開始時に用いられる合成廃棄物とコンポスト化プロセス終了時に得られたコンポストサンプルの乾燥質量と揮発性固形分を測定する

測定

  • 質量

ISO 3310規格のふるいを用いて、10mm径のふるいから始めて、各反応器のコンポストをふるいにかける。このふるいに残った試験材料断片を調べる。10mm未満の粒子径の断片を集めるために、コンポストの粒をふるいに通す。10mm径のふるいを通過しなかった試験片を集め、保管する。10mm径のふるいを用いた手順を、5mm径のふるい、2mm径のふるいと順次替えて、コンポストをふるい分ける。ふるい分け段階で採取した各試験材料を貯めて、コンポストを落とし、必要に応じて水に浸して洗浄する。最後に、恒量に達するまで、真空下、40±2℃のオーブンで試験材料を乾燥させる。最終質量を記録する。

評価

  • 崩壊度の算出

ふるい分けの手順から回収されたプラスチック材料は崩壊しなかった材料とみなす。ふるいを通過した材料は崩壊したとみなす。
崩壊度Dは次式を用いて%で算出される:

mi:試験材料の初期乾燥質量
mr:ふるいに残った残存試験材料の乾燥質量
反応器ごとに、個別に崩壊度を算出する。