作業環境測定
概要
1. はじめに
事業者には、労働安全衛生法において、有害な業務を行う屋内作業場については「作業環境測定」を行う義務があります。
「作業環境測定」では、作業環境中に有害な因子(有機溶剤、鉛およびその化合物、特定化学物質、電磁波、騒音、振動等)がどの程度存在し、その作業環境で働く労働者がこれらの有害な因子にどの程度さらされているかを評価します。
弊機構では、大阪労働局より作業環境登録機関の認定を受け、有機溶剤・特定化学物質・金属類の測定を実施しています。
2. 作業環境測定の対象作業場
作業環境測定の対象作業場は、労働安全衛生法施行令第21条に下記のとおり10箇所が示されています。
表、作業場の種類
作業場の種類 | 関係規則 | 測定回数 | 記録の保存年数 | ||
1 | ※土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 | 粉じん則26条 | 6月以内ごとに1回 | 7 | |
2 | 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場 | 安衛則607条 | 半月以内ごとに1回 | 3 | |
3 | 著しい騒音を発する屋内作業場 | 安衛則590、591条 | 6月以内ごとに1回 | 3 | |
4 | 坑内の作業場 | 炭酸ガスが停滞し、または停滞するおそれのある作業場 | 安衛則592条 | 1月以内ごとに1回 | 3 |
気温が28℃を超え、または超えるおそれのある作業場 | 安衛則612条 | 半月以内ごとに1回 | 3 | ||
通気設備が設けられている作業場 | 安衛則603条 | 半月以内ごとに1回 | 3 | ||
5 | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの | 事務所則7条 | 2月以内ごとに1回 | 3 | |
6 | 放射線業務を行う作業場 | 放射線業務を行う管理区域 | 電離則54条 | 1月以内ごとに1回 | 5 |
※放射性物質取扱作業室 | 電離則55条 | 1月以内ごとに1回 | 5 | ||
※事故由来廃棄物等取扱施設 | |||||
坑内における核原料物質の掘採 | |||||
7 | ※第1類物質または第2類の特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場 | 特化則36条 | 6月以内ごとに1回 | 3(特別管理物質については30年間) | |
特定有機溶剤混合物を製造し、又は取り扱う屋内作業場 | 特化則36条の5 | 6月以内ごとに1回 | 3(特定の物質については30年間) | ||
石綿等を取扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場 | 石綿則36条 | 6月以内ごとに1回 | 40 | ||
8 | ※遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く、鉛業務を行う屋内作業場 | 鉛則52条 | 1年以内ごとに1回 | 3 | |
9 | 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 | 酸欠則3条 | 作業開始前等ごと | 3 | |
10 | ※第1種または第2種有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場のうち有機則第三条第一項以外の業務 | 有機則28条 | 6月以内ごとに1回 | 3 |
※印は、作業環境測定士による測定が義務付けられている指定作業場。
3. A測定とB測定
作業環境測定には、「A測定」と「B測定」があります。「A測定」は、単位作業場所における気中有害物質の平均的な状態を把握するため測定です。一方「B測定」は、作業者が有害物質の発散源とともに移動する場合など、A測定の結果を評価するだけでは作業者の有害物質への大きな暴露を見逃すおそれがあると考えられる作業が存在する場合に、当該単位作業場所について行うA測定を補完するための測定です。下記表と図にて作業環境測定〔A測定、B測定〕を示しました。
表、作業環境測定のA測定、B測定
A測定 | B測定 | |
測定の目的 | 気中有害物質濃度の平均な状態を把握するための測定 | A測定を補完するための測定 B測定の対象作業 ① 移動作業 ② 間欠作業 ③ 近接作業 ※A測定だけでは、高濃度の暴露を見落とす恐れのある作業 |
測定点・位置 | 測定点は無作為(ランダム)に抽出する必要があるため、一般には等間隔(原則として6メートル以下)に選ぶ | 有害物質の濃度が最も高くなると思われる作業位置 |
測定時間等 | 1時間以上(試料採取開始から終了までの時間) 定常的作業時 | 10分間の継続した時間 有害物質の濃度が最も高くなると思われる時間 |
4. 結果の考え方(3つの管理区分)
作業環境測定では、作業環境の状態を第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分に区分して評価します。
- 管理区分の決定
管理区分の決定には、それぞれの測定点の分析結果から、第1・第2評価値を計算し、B測定値と合わせて下記の表から管理区分を決定します。なお、管理濃度とは、学術団体が示すばく露限界及び各国のばく露規制のための基準等の動向を参考に、作業環境管理技術の実用可能性を考慮して設定された数値で、物質ごとに規定されています。
表、作業環境測定の管理区分の決定
A測定 | ||||
第1評価値 <管理濃度 | 第2評価値 ≦管理濃度 ≦第1評価値 | 第2評価値 >管理濃度 | ||
B測定 | B測定値 <管理濃度 | 第1管理区分 | 第2管理区分 | 第3管理区分 |
管理濃度 ≦B測定値 ≦管理濃度 | 第2管理区分 | 第2管理区分 | 第3管理区分 | |
B測定値 >管理濃度×1.5 | 第3管理区分 | 第3管理区分 | 第3管理区分 |
- 管理区分の評価と措置
作業環境測定結果が第3管理区分に決定した場合は、直ちに作業場の点検を行い、改善するために局所排気設備などの導入などの対策を講じる必要があります。
表、作業環境測定の管理区分
管理区分 | 第1管理区分 | 第2管理区分 | 第3管理区分 |
評価 | 作業環境管理が適切にできている状態 | 作業環境管理に改善の余地がある状態 | 作業環境管理が適切でない状態 |
措置 | 直ちに現場の点検を行ない、有機溶剤濃度を下げるために、局所排気設備などの導入などの対策を講じる必要があります | 設備、作業方法等の点検を行い、その結果に基づき設備等の設置、作業方法等の改善その他作業環境を改善するために必要な措置を講ずるよう努めなければなりません | 作業環境管理が適切であると判断されるため同区分の継続に努める |
5. ボーケンで測定可能な作業場について
弊機構で測定可能なものとしては、「特定化学物質」、「有機溶剤」、「金属類」です。詳細については、一度お問い合わせ頂きますようお願いします。
6. 作業環境測定の受付フロー
ご依頼の流れとしましては、まずは対象物質の確認をします。その後、作業場について事前確認を行い、測定日の打ち合わせをさせていただきます。作業環境測定の受付フローとしては下記となります。
お問い合わせ
06-6577-0031