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抗菌性(JIS L 1902:繊維)

抗菌加工とは?

「JIS L 1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」で定義されている「抗菌加工」とは、細菌数の減少又は細菌を死滅させることによって、繊維上の細菌の増殖を抑制する加工をいいます。

JIS L1902の対象製品

布帛、詰めもの、糸、衣服素材、寝具、家具用繊維及び雑品を含む全ての繊維製品に適用されます。

試験方法

JIS L 1902には4種類試験方法が規定されています。4種類の試験方法とは、菌液吸収法、トランスファー法、菌転写法、ハロー法です。試験に用いる細菌の種類としては、黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌があります。

①菌液吸収法

繊維製品の抗菌性試験では、もっとも一般的な方法です。一般社団法人繊維評価技術協議会・SEKマークの「抗菌防臭加工繊維製品」並びに「制菌加工繊維製品」認証基準の試験方法にもなっています。試料に菌液を染み込ませ、一定時間後の菌数の変化を調べます。

1. 試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験菌液0.2mlを滴下後、バイアル瓶のふたをします。
2. バイアル瓶を37℃で18~24時間培養します。

3. 洗い出し液20mlを加えて試験片から試験菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法又は発光測定法により測定します。

4. 下記の式に従い抗菌活性値を算出します。

抗菌活性値 = {log(対照試料・培養後生菌数) - log(対照試料・接種直後生菌数)}
- {log(試験試料・培養後生菌数) - log(試験試料・接種直後生菌数)}

なお、一般的には対照試料には、標準布(綿)を使用します。

【抗菌効果】
抗菌活性値 ≧ 2.0

②定性試験(ハロー法)

抗菌加工が施された試験片の周囲にできたハロー(菌の発育阻止帯)の大きさから、定性的に抗菌性を評価する試験方法です。この試験は、主に水溶性の抗菌剤の場合に適用できます。

1. 試験片(直径28mm等)を混釈平板培地の中央に置く。
2. 37℃で24~48時間培養します。
3. 試験片の周囲にできたハローの幅を測定し、ハローの有無を判定します。

 

【抗菌効果】
ハローがあるもの

ハロー法の試験結果例

SEKマーク認証のための試験

ボーケンではSEKマークの認証を取得するために必要な抗菌性試験の実施と、JNLA試験報告書の発行が可能です。一般社団法人繊維評価技術協議会(略称:繊技協)は、繊維製品について抗菌防臭加工、制菌加工のマーク(SEKマーク)の認証を実施しています。

抗菌加工の種類

繊維製品の抗菌加工には、繊維上の細菌の増殖を抑制して汗や汚れから発生する悪臭を防止することを目的とする「抗菌防臭加工」、繊維上の細菌の増殖を抑制することを目的とする「制菌加工」があります。

抗菌防臭加工

菌液吸収法

黄色ぶどう球菌

制菌加工

一般用途

菌液吸収法

黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌

※緑膿菌※大腸菌、※モラクセラ菌

特定用途

菌液吸収法

黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌、

MRSA※緑膿菌※大腸菌、

※モラクセラ菌

※オプション菌

【評価基準】

抗菌防臭加工: 抗菌活性値 ≧ 2.2

制菌加工:
一般用途(一般家庭用) : 抗菌活性値 ≧ 増殖値

特定用途(医療機関等用) : 抗菌活性値 > 増殖値

※加工の耐久性として、未洗濯と最高洗濯回数の両方での実施が必要であり、加工、区分ごとに洗濯方法、洗濯回数が定められています。抗菌防臭加工と制菌加工(一般用途)は、標準洗濯法にて繰り返し洗濯処理を実施し、制菌加工(特定用途)は高温加速洗濯法にて繰り返し洗濯処理を実施します。洗剤はどちらもJAFET標準配合洗剤を使用します。

【SEKマーク】

sek1.jpg

抗菌防臭加工

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制菌加工(一般用途)

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制菌加工(特定用途)