RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令とは、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日付け欧州議会・理事会指令2011/65 /EU(Directive on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical Equipment)のことで、電気・電子機器(Electrical and Electronic Equipment:EEE)などの特定有害物質の使用制限に関するEUの法律です。
2003年2月に最初の指令(通称RoHS1)が制定され2006年7月に施行され、2011年7月に改正指令(通称RoHS2)が施行されました。 EUに上市するすべての電気・電子機器に対して、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの6物質が有害物質として使用が制限されています。
RoHS指令の改正も進められ、新たにRoHS指令の対象となる医療、計測、制御、分析機器の取り扱いや、新たに有害物質として使用を禁止もしくはその候補となる物質について検討がされています。
目的 |
健康保護、廃電気電子機器の環境に健全な再生・処分に寄与(埋立処分に伴う地下水等汚染の防止) |
対象製品 |
すべての電気電子機器(EEE)
・正しく作動するために電流または電磁場に依存する機器、及びかかる電流および電磁場を発生、伝導、測定するための機器
・交流1000 ボルト、直流1500 ボルトを越えない定格電圧で使用するよう設計された機器 |
適用除外製品 |
適切な代替手段がない場合は一定範囲で適用が免除されている。(指定の範囲の蛍光ランプ中の水銀、ブラウン管などのガラス中の鉛、指定の含有率以下の鉛を含む合金、高温溶接タイプの鉛はんだ、医療器具等) |
禁止物質 |
鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの6物質 |
禁止物質の追加 |
定期的に検討される。
2019年7月22日から、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の4物質が規制される。
※医薬機器及び監視用機器などの電気電子機器(カテゴリ8,9)は2021年7月22日より適用 |
RoHS適合証明方法 |
CEマークの製品貼付、適合性宣言書及び技術文書作成保管 |
対象
|
具体的製品
|
制限物質含有情報(※)
|
(Cat.1)
大型家庭用
電気製品 |
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、扇風機、など
|
- 塗料、インク、樹脂顔料や安定剤としてCd、Pbを使用。
- 快削鋼、快削アルミなど切削性を向上させるためPbを添加。JIS、ISO規格品にRoHS閾値ぎりぎり又は越えるものがある。
- 黄銅切削性を向上させるためPbを添加。JIS、ISO規格品にRoHS閾値ぎりぎり又は越えるものがある。
- Znの不純物としてCdを含有。
- 鉛フリーはんだに数100ppmのPbを含有。フローはんだ時に濃度が上がる可能性がある。
- メッキ皮膜無電解メッキに添加剤としてPbが使用されている。
- 六価Crメッキが広く使用されている。
- ウレタン樹脂触媒としてHgが使用されている場合がある。
- 皮革なめしに六価Crが使用されている。
- 低融点はんだCdを含有している物がある。
- 難燃剤としてPBB、PBDEを使用。しかし、近年はデカPBDE以外は生産されていない。リサイクル材、高周波ケーブル用被覆などが要注意。
|
(Cat.2)
小型家庭用
電気製品 |
電気掃除機、アイロン、ドライヤー、時計、など |
(Cat.3)
IT及び遠隔通信機器 |
パソコン、複写機、電話機、携帯電話、など |
(Cat.4)
民生用機器 |
ビデオカメラ・レコーダ、オーディオ、楽器、など |
(Cat.5)
照明装置 |
家庭用照明器具をのぞく蛍光灯照明装置、など |
(Cat.6)
電動工具(据付型
大型産業用工具を
除く) |
ドリル、ミシン、溶接・はんだなどの用途の工具、など |
(Cat.7)
玩具、レジャー・
スポーツ用品 |
ビデオゲーム(携帯用含む)、スポーツ機具、など |
(Cat.8)
医療用機器 |
放射線療法機器、心電図測定器、など |
(Cat.9)
監視及び制御機器 |
煙検知器、ヒーティングレギュレータ、など |
(Cat.10)
自動販売機 |
自動販売機など |
(Cat.11)
上記カテゴリに入らないその他の電気電子機器 |
|
※2011年、経済産業省:改正RoHS関連工業会合同勉強会資料より