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いすの安定性試験(JIS S 1204)

目的

いすやスツールの転倒事故は、使用者の体重移動、座位姿勢での過負荷、荷重の偏り、脚構造の不安定さなどに伴って脚が床から浮くことにより発生するものであり、家具の安全性試験として強度試験等と並ぶ重要な評価項目の一つです。安定性試験では、着座時の前方・後方・側方への姿勢の変化を模して、いすがどの方向で転倒しやすいかを評価します。
本試験は、座った姿勢で生じる垂直力と、転倒を誘発する水平力を組み合わせることで、実使用に近い不安定条件を再現し、安定性の限界値を確認するものです。製品の設計改善、強度部位の見直し、安全基準への適合性確認に広く利用されています。

試験方法

いすの安定性試験では、以下の方法で前方・側方・後方それぞれの方向に対する安定性を評価します。

1)前方安定性・ひじ無しいすの側方安定性(JIS S 1204 7.1.1)

「前のめり転倒」や、「横方向の不意な体重移動」を再現する試験です。
試験体を設置し、左右の前脚/片側前後の脚にストッパに当て、直径200mmの荷重用当て板を座面前縁/側縁から50mmの位置に置き、600Nの垂直力を加えます。
当て板の底部が座面に接触する点から前方/側方に向かって水平力を加えます。

図1.前方安定性

図2.ひじ無しいすの側方安定性

2)後方安定性(JIS S 1204 7.1.2)

背もたれにもたれた際の「後方転倒」を評価する試験です。
試験体を設置し、後脚をストッパに当て、座面と背もたれの表面が交差する線の中心から175㎜前方の位置に当て板を介し600Nの垂直力を加えます。無荷重で座面から300㎜の高さの背もたれ位置か背もたれの上端のどちらか低い方の位置に試験体の後方に向かって水平力を加えます。

図3.後方安定性

3)ひじ付きいすの側方安定性(JIS S 1204 7.1.3)

ひじ部を支点に体重が偏ったときの「横転倒」を再現した試験です。
試験体を設置し、片脚側をストッパに当て、座面の左右中心から片側に100㎜寄った位置で、座面の後縁から前方に175~250mm離れた位置に250Nの垂直力を加えます。
ひじ部の外側縁から37.5mm内側の位置で、ひじ部の長さ方向で最も条件の悪い位置に当て板を介し350Nの垂直力を加える。ひじ部に垂直力を加えた位置に、外側に向かって水平力を加えます。

図4.ひじ付きいすの側方安定性

4)スツールの全方向安定性(JIS S 1204 7.2)

背もたれがないスツール特有の「360°全方向転倒」を評価する試験です。
2つの脚にストッパを当て、当て板を用いストッパを当てた脚に最も近い座面の縁から50mmの位置に600Nの荷重を加えます。座面の中心を通ってストッパを当てた脚の方向に水平力を加えます。

図5.スツールの全方向安定性

最小転倒力の提案値

(座面高さ:300mm ~ 1,200mm)

試験項目転倒力(水平力)
前方安定性20N
ひじ無しいすの側方安定性20N
後方安定性200N~80N(300~720mm)
80N(720mm~1,200mm)
ひじ付きいすの後方安定性20N
スツールの全方向安定性20N

活用事例

ボーケンでは、以下のような製品で安定性試験のご依頼を多数いただいています。
・作業用チェアの転倒防止評価
・飲食店向けスツールの全方向安定性評価
・乳幼児・学校用いすの安全性確認
・ハイチェアの後方安定性評価
・新製品開発時の脚構造・サイズ比較

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