小形チャンバー法(JIS A 1901準拠のVOC放散速度試験) 2021/3/15 概要 目的 試験方法 対象アイテム 建築基準法と厚生労働省室内濃度指針値 試料の梱包方法 関連ページ 目的 直径30 cmの20 Lステンレスチャンバーを用い、木質系ボード(合板、パーティクルボード、MDFなど)、壁紙、断熱材、塗料、接着剤といった建築資材やカーテン、カーペットなどのインテリア用品から放散されるホルムアルデヒドを含む揮発性有機化合物(VOC)の放散速度を測定する試験です。大形チャンバーと異なり、製品そのものというよりは、製品を構成する部材を評価する試験です。チャンバーの大きさ以外は、大形チャンバーと同様に居住空間を想定し、温湿度と換気をコントロールしています。 対象アイテム 主にJIS A 1901に準拠した試験を実施します。以下小形チャンバーのイメージ図のように、チャンバー内に試料を設置した後、一定の日数経過後のチャンバー内空気から測定対象VOCの捕集を行います。チャンバーの環境条件、処理日数(経過日数)、測定項目(対象物質)及び測定方法を以下に示します。 チャンバー条件チャンバー容量20 L換気回数0.5回/hチャンバー内温度28℃チャンバー内湿度50%チャンバー処理日数JIS通りでは、1日後、3日後、7日後、14日後、28日後の計5測定となっていますが、お客様のご要望に合わせた処理日数でも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。測定項目 カルボニル化合物 ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン VOC類 【VOC定番6成分】トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカン【VOC 41成分】詳細につきましてはお問い合わせください。【その他】TVOC(トルエン換算値)、2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノール、TXIBなど フタル酸エステル類 フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) 農薬類 クロルピリホス、フェノブカルブ、ダイアジノンこの他お客様のご要望に応じた測定を実施いたします。お気軽にお問い合わせください。測定方法測定対象捕集方法測定機器カルボニル化合物DNPH捕集管高速液体クロマトグラフ(HPLC)VOC類Tenax捕集管加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析計(TD-GCMS)フタル酸エステル類農薬類樹脂製捕集管ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 試験方法 ボード類(合板、MDF、パーティクルボード、集成材、床材など) 壁紙 塗料 接着剤 断熱材 建築基準法と厚生労働省室内濃度指針値 建築基準法建築基準法では、ホルムアルデヒドとクロルピリホスという農薬について、内装仕上げに用いる建築材料に対して規制が設けられています。クロルピリホスについては使用が禁止されています。ホルムアルデヒドについては、その発散区分によって、使用する内装仕上げ建築資材の面積に制限が掛けられます。以下、ホルムアルデヒド発散区分と内装仕上げ材の使用面積を示します。発散量発散区分放散速度(µg/m2・h)表示使用制限少↑↓多規制対象外5以下F☆☆☆☆使用制限なし第3種5超~20以下F☆☆☆使用制限あり第2種20超~120以下F☆☆第1種120超マークなし使用禁止厚生労働省室内濃度指針値室内濃度指針値とは、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものです。以下表の13物質が指定されています。法律ではありませんが、室内空気環境分野での基準値として、多くの場面で利用されているガイドラインです。揮発性有機化合物室内濃度指針値(括弧内は25℃のときの換算値)発生源の例ホルムアルデヒド100 μg/m3 (0.08 ppm)合板、PB、接着剤、防腐剤等アセトアルデヒド48 μg/m3(0.03 ppm)接着剤、防腐剤等トルエン260 μg/m3 (0.07 ppm)接着剤、塗料等キシレン200 μg/m3 (0.05 ppm)接着剤、塗料等エチルベンゼン3800 μg/m3 (0.88 ppm)接着剤、塗料等スチレン220 μg/m3 (0.05 ppm)スチレン系樹脂を使用した断熱材等パラジクロロベンゼン240 μg/m3 (0.04 ppm)防虫剤、芳香剤等テトラデカン330 μg/m3 (0.04 ppm)灯油、塗料等クロルピリホス1 μg/m3 (0.07 ppb)(小児:0.1 μg/ m3 [0.007 ppb])殺虫剤フェノブカルブ33 μg/m3 (3.8 ppb)殺虫剤ダイアジノン0.29 μg/m3 (0.02 ppb)殺虫剤フタル酸ジ-n-ブチル17 μg/m3 (1.5 ppb)塗料、接着剤の可塑剤フタル酸ジ-2-エチルヘキシル100 μg/m3 (6.3 ppb)壁紙(PVC製)等の可塑剤 試料の梱包方法 測定対象物質が試料から揮散することを防ぐことと、輸送・保管中に他の荷物・試料から移染してしまうことを防ぐために、上記のようにしっかりと梱包してください。 関連ページ 大形チャンバー法(JIS A 1911及び1912準拠のVOC放散速度試験)デシケーター法(JIS法及びJAS法準拠のホルムアルデヒド放散量試験) お問い合わせ 大阪認証・分析センター TEL:06-6577-0031