抗かび性試験(JIS L 1921)|SEKマーク対応・繊維製品の抗かび加工評価
抗かび性試験(JIS L 1921)とは?
抗かび性試験(JIS L 1921)は、繊維製品に施された抗かび加工の効果を、ATP(アデノシン三リン酸)発光法により定量的に評価する試験です。繊維製品にかびが発生すると、シミや変色、異臭の原因となるだけでなく、繊維を劣化させ、強度低下や破れにつながることがあります。これらを防ぐため、抗(防)かび剤を練り込み加工や後加工によって付与した製品が数多く販売されています。
本試験は、一般社団法人繊維評価技術協議会(繊技協)が運用するSEKマーク(抗かび加工)の認証試験にも採用されており、衣料品、寝具、インテリア製品などの抗かび性能評価に利用されています。
また、本規格の対応国際規格はISO 13629-1「Textiles – Determination of antifungal activity of textile products – Part 1: Luminescence method」です。
ボーケンでは第三者試験機関として、JIS L 1921に基づく抗かび性試験を実施し、抗かび加工剤の開発、製品開発、品質管理、SEKマーク認証取得のための試験など、幅広くサポートしています。
抗かび加工とは?
抗かび加工(防カビ加工)とは、繊維製品上でのかびの発育を抑制するための機能加工です。抗カビ剤を繊維へ練り込む方法や、製品に後加工する方法などがあり、湿気の多い環境で使用される繊維製品を中心に利用されています。このような製品では、かびによる外観不良や品質低下を防ぐことが求められるため、JIS L 1921による抗かび性能の評価が重要となります。
JIS L 1921の対象製品
JIS L 1921は、さまざまな繊維製品に適用できます。
- 衣料品
- タオル
- 靴下
- 寝具
- カーテン
- 傘
- テント
- 不織布
- インテリア製品 など
試験方法(JIS L 1921)
JIS L 1921では、ATP発光法を用いて、繊維上で増殖したかびを定量的に測定します。
ATP(アデノシン三リン酸)は、すべての生物が持つエネルギー物質です。
かびのATP量を測定することで、目視では分からないレベルのかびの増殖まで数値化できます。
試験対象かび
| 試験対象カビ | 学名 | 特徴 |
| クロコウジカビ | Aspergillus niger | 土壌や空気中など身近な環境に広く存在するカビ |
| アオカビ | Penicillium citrinum | 土壌や空気中など身近な環境に広く存在するカビ |
| クロカビ | Cladosporium sphaerospermum | 湿気の多い場所に発生しやすいカビ |
| 白癬菌 | Trichophyton mentagrophytes | 水虫やたむしの原因になるカビ |
吸収法(JIS L 1921)
①試料(0.2 g)をバイアル瓶に入れ、試験胞子液0.2 mLを接種します。

②25 ℃で42時間培養します。
③ATP消去試薬と生理食塩水を加えて細胞外ATPを消去します。
④ATP抽出試薬を加え、細胞内ATPを抽出します。
⑤抽出液を分取し、発光試薬を加えて撹拌後、発光光度計で発光量を測定します。
⑥発光量からATP量を求め、抗かび活性値を算出します。
評価方法
培養後のATP量から、次式により抗かび活性値を算出します。
抗かび活性値=
{log(標準布・培養後ATP量)− log(標準布・接種直後ATP量)}−
{log(加工試料・培養後ATP量)− log(加工試料・接種直後ATP量)}
抗かび活性値が大きいほど、加工によるかびの増殖抑制効果が高いことを示します。
一般的な評価の目安
| 抗かび活性値 | 評価 |
| 2.0以上 | 抗かび効果あり |
抗かび活性値2.0の場合、加工試料では標準布と比較して、かびの増殖が100分の1以下に抑制されていることを意味します。
SEKマーク認証試験に対応
ボーケンでは、SEKマーク(抗かび加工)取得のための試験に対応しています。
SEKマークでは、JIS L 1921に基づき、以下の基準で評価が行われます。
SEKマークの認証基準
- 2種類以上の試験対象かびで評価
- 一般衣料品:抗かび活性値が2.0以上
- インテリア製品など:抗かび活性値3.0以上 ※洗濯回数が少なく、かびが発生しやすい製品
例)カーペット、カーテン、マットレスなど - 品目ごとに定められた洗濯処理後の耐久性評価を実施
【対象マーク】
※実際にマーク表示をする場合には、薬機法や景品表示法(優良誤認等)への抵触を避け、消費者の誤解を招かないようにするために、マークの近傍に「この製品は、病気の治療や予防の効果はありません。」等のいくつかの注意表示が必要です。
抗かび性試験(JIS L 1921)とかび抵抗性試験(JIS Z 2911)の違い
JIS L 1921とJIS Z 2911は、どちらも「かび」に関する試験ですが、評価目的・対象・評価方法が異なります。
| 項目 | JIS L 1921 | JIS Z 2911 |
| 評価対象 | 繊維製品のみ | 繊維・プラスチック・建材など |
| 試験の目的 | 抗かび加工の効果 | 素材・製品のかび抵抗性 |
| 培養時間 | 42時間 | 1週間~4週間 |
| 評価方法 | ATP発光法(定量) | 目視観察(定性) |
| 比較対照 | 未加工品、標準綿布 | なし |
| 認証マーク | SEKマーク | SIAAマーク(繊維以外) |
JIS L 1921は「加工による抗かび効果」を評価する試験、JIS Z 2911は「材料そのもののかび抵抗性」を評価する試験という点が大きな違いです。
FAQ(よくあるご質問)
| Q. | 試験に必要な試料の量はどのくらいですか? |
| A. | かび1種類あたり、30 cm×30 cm程度(1.2 g以上)の試料が必要です。 |
| Q. | 試験対象のかびはどのように選べばよいですか? |
| A. | JIS L 1921では、クロコウジカビ、アオカビ、クロカビ、白癬菌から試験対象かびを選択します。SEKマーク認証では2種類以上のかびで評価する必要があり、製品の用途や使用環境などに応じて選択します。 |
| Q. | 抗菌試験(JIS L 1902)との違いは何ですか? |
| A. | 抗菌性試験(JIS L 1902)は細菌の増殖抑制効果を評価する試験です。 一方、JIS L 1921はかび(真菌)の発育抑制効果を評価する試験です。 |
| Q. | 洗濯後の抗かび性能の評価も必要ですか? |
| A. | SEKマーク認証を取得する場合には必要です。製品区分ごとに定められた洗濯処理後の抗かび性能評価を行います。耐久性評価についても対応していますので、ご相談ください。 |
| Q. | 試験にはどれくらい時間がかかりますか? |
| A. | 培養時間は42時間ですが、前処理や試験準備などを含めた納期は試験内容によって異なります。 詳細な納期についてはお問い合わせください。 |
| Q. | 防カビ剤そのものの評価はできますか? |
| A. | JIS L 1921は繊維製品に加工された状態での抗かび性能を評価する試験です。 防カビ剤や加工剤単体の評価については、目的に応じた別の試験方法をご提案します。 |
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