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自動車部品のVOC測定法(JASO M 902及びM 903準拠のVOC放散試験)

概要

自動車の車内は、一般住宅や事務所などと同様に高気密な「室内」とみなせます。自動車内では、シート、フロアマット、ドア内張、ハンドル、ダッシュボードなどに様々な樹脂部品が使用されており、中にはVOCの放散が懸念される部品もあります。従いまして、自動車室内でもいわゆるシックハウス症候群と同じような症状が引き起こされる可能性があります。このような自動車内装部品の試験片をサンプリングバッグに入れ、一定温度に加温することで、車内と同じような環境をつくり、その中で放散したVOCを測定するという試験です。チャンバー試験と異なり、温度のコントロールのみで、換気もしないのが特徴です。長時間滞在する住宅と異なり、自動車内という環境を想定した条件になっています。

試験方法

主に公益社団法人自動車技術会が発行する「自動車部品 揮発性有機化合物(VOC)放散測定方法」(内装材:JASO M 902、車室内部品:JASO M 903)に準拠したサンプリングバッグによる試験を実施します。以下の写真はJASO M 902による試験の様子です。

JASO M 902では10 Lのサンプリングバッグに100 cm2の試験片を入れ、65℃で2時間処理した後、サンプリングバッグ内の空気を捕集します。一方、JASO M 903では原則として試料をカットせずにそのままサンプリングバッグに入れます。バッグの大きさは20 L~200 Lと規定されています。
※ボーケンでは恒温槽設備の都合上、~50 L程度の大きさまで実施可能です。

測定項目

カルボニル化合物
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど

VOC類
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、TVOC(トルエン換算値)など

この他お客様のご要望に応じた測定を実施いたします。お気軽にお問い合わせください。

測定方法

測定対象 捕集方法 測定機器
カルボニル化合物 DNPH捕集管 高速液体クロマトグラフ(HPLC)
VOC類 Tenax捕集管 加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析計(TD-GCMS)

対象アイテム

  • シート類
  • フロアマット
  • 天井内張
  • ドア内張
  • ダッシュボード及びインストルメントパネル
  • 接着剤、塗料

車室内VOC低減に対する自主取組み(日本自動車工業会)

揮発性有機化合物 室内濃度指針値 (括弧内は25℃のときの換算値) 発生源の例
ホルムアルデヒド 100 μg/m3 (0.08 ppm) 合板、PB、接着剤、防腐剤等
アセトアルデヒド 48 μg/m3 (0.03 ppm) 接着剤、防腐剤等
トルエン 260 μg/m3 (0.07 ppm) 接着剤、塗料等
キシレン 200 μg/m3 (0.05 ppm) 接着剤、塗料等
エチルベンゼン 3800 μg/m3 (0.88 ppm) 接着剤、塗料等
スチレン 220 μg/m3 (0.05 ppm) スチレン系樹脂を使用した断熱材等
テトラデカン 330 μg/m3 (0.04 ppm) 灯油、塗料等
フタル酸ジ-n-ブチル 17 μg/m3 (1.5 ppb) 塗料、接着剤の可塑剤
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 100 μg/m3 (6.3 ppb) 壁紙(PVC製)等の可塑剤
※ 基本的には厚生労働省の室内濃度指針値に準拠しているが、パラジクロロベンゼン、ダイアジノン、フェノブカルブ、クロルピリホスの4成分については、住宅特有の成分であるため自主取組みからは除外した。

試料の梱包方法

測定対象物質が試料から揮散することを防ぐことと、輸送・保管中に他の荷物・試料から移染してしまうことを防ぐために、上記のようにしっかりと梱包してください。

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